『軍隊と性暴力 朝鮮半島の20世紀』

■『軍隊と性暴力 朝鮮半島の20世紀』からの一部抜粋
 また、韓国の学者グループによる研究で、2年前に『軍隊と性暴力』
(現代史料出版)として訳出刊行された書物には、朝鮮戦争において、
「ある日、韓国軍情報機関員たちにより拉致され、1日で韓国軍『慰安婦』
へと転落した。」ことが記されており、加瀬英明氏がコラムで紹介しています。

韓国がひた隠しする韓国軍「慰安婦」関連資料
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

 韓国の日本叩きは無制限に行われ、韓国に都合が悪い事実はひた隠しに
隠していますので、韓国に都合の悪い事実を一人でも多くの方と情報を共有し
拡散が必要と思いましたので、上記の資料を読んで一部抜粋してみました。

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宋連玉・金栄編著 『軍隊と性暴力 朝鮮半島の20世紀』 現代史料出版
第三部 解放後南朝鮮・韓国の軍事主義と性管理
第七章 朝鮮戦争時の韓国軍「慰安婦」制度について 金貴玉(キム・キオック)(鄭栄桓訳)
1 問題提起
2 国家暴力と韓国軍の軍「慰安所」
3 朝鮮戦争当時の韓国軍「慰安隊」の実態を明かす
4 解き明かさねばならない問題
5 結論

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1 問題提起(p284)
(p285)
 私は、1996年に分断と戦争の犠牲者に関する現地調査を行う過程で、朝鮮戦争当時、大韓民国陸軍が徴集した軍「慰安婦」が存在したことを知った。
だが、この事実を公開するまでには7年の月日がかかった。2002年に韓国陸軍の軍「慰安婦」を扱った論文を発表した直後は日本と韓国の放送メディアや新聞も、目新しさからこの問題を報道したが、またすぐに歴史の闇に放りこまれてしまった。
そして論文発表の直後、韓国の国防部所属資料室にあった韓国軍「慰安婦」関連資料の閲覧は禁止され、ほとんどのメディアも示し合わせたかのように沈黙した。
「日本軍『慰安婦』問題でもないのに……」と言葉を濁らせたのだ。

 この時、私はあることに気づいた。これまで韓国の学会や女性運動は、日本軍「慰安所」制度と公娼制には連続性があるとする主張に対して辛辣に批判してきたが、一方では韓国軍「慰安婦」問題に対しては「公娼」であると断定し、議論の余地のないものとする傾向があるということが見えてきたのである。一部の進歩的な男性たちですら、民族主義の名のもとに私の研究成果を身内の恥をさらすものとみなし、日本の極右の弁明の材料となりうると警告した。

 私もこうした事実の発見を喜んだわけではない。だが1996年に韓国軍「慰安婦」の存在を知り、その後より具体的な事実に触れるにつれ、不快感を隠すことは到底できなくなっていった。なぜあれほど軽蔑した日帝の軍「慰安所」を、韓国軍は朝鮮の地に作ったのか。私はこの問題を解明しなければならないと考えた。

 日本軍と同じように韓国軍が軍「慰安所」を作ったのは、男性の耐え難い生理学的本能が普遍的に存在するからなのか?インドシナ戦争時にフランス軍によって「移動式娼婦村」が作られ、ベトナム戦争当時に米軍専用のベトナム女性の「売春宿」が設けられたように、軍「慰安所」はあらゆる戦争の必要悪なのか?韓国軍「慰安所」設置はこうした普遍的現象の一部に過ぎないものなのか?もしそうならば、朝鮮戦争当時に韓国軍が作った「慰安所」の実態と性格はどのようなものだったのか?誰が作り、何が行われていたのか?そもそも軍「慰安所」の「慰安婦」たちとはどのような人を指すのか?また、韓国軍「慰安婦」たちにこれまで沈黙を強いてきた原因は何か。このような韓国軍「慰安婦」をめぐるさまざまな疑問を提起することから、私はこの問題にアプローチしてみたい。

 現時点で私は、大韓民国陸軍本部が1956年に発刊した『後方戦史(人事篇)』
(以下『後方戦史』)以外に軍「慰安所」に関する文書を探し出せていない。

2 国家暴力と韓国軍の軍「慰安所」(p287)

(p288) 朝鮮南部においては、老斤里(ノグンニ)事件や居昌(コチャン)良民虐殺事件、大田(テジョン)刑務所収監者処刑事件のような数多くの例に見られるように、相当数の民間人たちが米軍や韓国軍、警察、右翼青年などの国家組織により不法に虐殺された。
民間人による大量虐殺の場合も、それは国家権力の庇護のもとになされている。虐殺の主体が軍隊や警察、民間人のいずれであっても、こうした虐殺は「国家の暴力」といえるだろう。

 しかし虐殺事件だけが国家暴力なのではない。戦時中にほしいままに行われた性暴力もまた、国家暴力のカテゴリーに加えられる。以前私は、朝鮮戦争前後の国家暴力により女性に加えられたさまざまな性暴力を、四種類に類型化したことがある。すなわち、直接的強姦による暴力、性器や女性の身体への虐待及び幼児殺人による母性に対する暴力、軍人の拉致による強制結婚や性奴隷化、拘禁の間の性拷問などである。これらのうち最も蔓延したものは強姦であったが、軍人の拉致あるいは強制結婚や性奴隷化も少なからずあった。

 性奴隷化は個別的なものと集団的なものに分けることができる。一人、あるいは少数の女性たちが軍人により軍部隊へと拉致され、昼には「下女」として働き、夜には「慰安」を強要された。こうした類型に属する軍「慰安婦」も相当広範に認められる。私が1999年にインタビューした、朝鮮戦争に参戦した米国人ポール・フェンチャー (Paul Fancher) が属していた米軍部隊にも軍「慰安所」があった。また、韓国軍により体系的に「特殊慰安隊」が作られ、そこで軍「慰安婦」たちは軍人を「慰安」するよう強要されたのだ。

3 朝鮮戦争当時の韓国軍「慰安隊」の実態を明かす(p288)
(5)「特殊慰安隊」実績統計表(p291)
(p292) 上の実績統計表によれば、一人の「慰安婦」が一日に六回以上「慰安」を強要されていたことがわかる。また、「出動慰安」の場合、一日に20~30回の「慰安」を強要されたものと考えられる。

4 解き明かさねばならない問題(p293)
(p296) 第三に、狭い意味での軍「慰安所」と軍「慰安婦」の性格をどのように見るべきだろうか?『後方戦史』に書かれているように、軍「慰安所」は国家組織により設立・管理される公娼制に基づいており、軍「慰安婦」は軍隊組織にそれまでなかった「第五種補給品」と別に称されもした。一般の公娼制に伴う性病検診についても軍部隊が直接実施した。

 つまり、国家機構であるところの陸軍本部は当時、軍「慰安所」の性格を「公娼」としてとらえていたといえる。公娼制と軍「慰安婦」は自発性において同一であるとみるのは難しいが、一般的に公娼制というと、そこには女性の自発性があるという前提をもって認識する傾向があるだろう。そのような背景のもと、例えば太平洋戦争のころに極少数でも、日本人「慰安婦」のなかには天皇に対する忠誠心と愛国心を抱いていた女性が、自らすすんで「慰安婦」になった場合があったと考えられる。では、朝鮮戦争期の韓国人女性のなかにも、国家への忠誠心と愛国心の発露として軍「慰安婦」になった者がいたと考えられるだろうか。

 『後方戦史』は、「慰安婦」が軍「慰安所」に来ることになった過程や動機について全く言及していない。公開募集をしたという記録も見つけることはできていないが、金喜午の回顧録に、その女性たちのほとんどが、かならずしも器量良しには見えない幼い女性たちであるとしており、戦争前に私娼で働いていた女性だとは考えにくい。

 実際に軍「慰安婦」として働くことになった女性たちの例からは、「自発的動機」がほとんどなかったのではないかと思われる。ある女性は十代後半の未婚女性で、1951年春まで咸鏡南道永興(ヨンフン)郡に住んでいた。ある日、韓国軍情報機関員、いわゆる北派工作員たちにより拉致され、一日で韓国軍の軍「慰安婦」へと転落した。
彼女はこのことに関する証言を拒んだが、拉致した北派工作員二名によりこの事実が証言された。

 すべての軍「慰安婦」たちがこのようであったと推定することは難しい。だが、他の「慰安婦」にされそうになった女性の証言からは、いわゆる「アカ」と疑われた状況におかれたため、軍人に殺されるかもしれないという恐怖心から軍「慰安婦」となることを拒めなかったことがわかる。また、強姦の結果、「慰安婦」とならざるを得なくなったケースもある。戦争による貧困と、家族から保護・扶養されることが難しいという困難な条件が幾重にも重なり、女性たちは「慰安婦」にならざるを得なくなったのかもしれない。
こうしたことを考えてみても、また、朝鮮人女性たちの伝統的家父長制的純潔意識を考慮してみても、朝鮮戦争当時、特に未婚女性たちが自発的に軍「慰安隊」に志願したと判断することには無理がある。

 よって国家の立場からみれば公娼であったとしても、女性たちの立場からみれば韓国軍「慰安婦」制度はあくまで軍による性奴隷制度であり、女性自身は性奴隷であったといえるだろう。そして、何人かの男性の証言にもあるが、1954年3月に軍「慰安隊」が閉鎖されたとき、日本軍と同じように、大部分の女性たちを捨てたに違いないのである。

(p298) 第四に、韓国軍「慰安婦」問題が語られない理由は何だろうか?
いくつかの要因が複合的に作用しているといえる。家父長制イデオロギー、民族主義イデオロギー、そして、反共イデオロギーなどが同時に作用しているのではないか。

 日本軍「慰安婦」問題と比較するならば、被害女性が証言を始めたとはいえ、未だにはるかに多い女性たちが日本軍性奴隷であった事実を隠したり、名乗り出たとしても秘密を守り続けているのでだが、その一方で日本軍による犯罪行為だと認識することにより、「性奴隷」概念が受け入れられるようになった。しかし、韓国軍「慰安婦」問題に関してはどうだろうか。彼女たちは愛国心からというよりも、日本軍「慰安婦」と同じく生存に対する危機感から強制的に「慰安婦」にさせられたのである。朝鮮戦争時に軍「慰安婦」と接した経験を持つ男たちが「韓国軍『慰安婦』は「日本人」とではなく「韓国人」とそうしたのだから、それでもましだろう」という弁明をしているが、この言葉からは、この問題の隠蔽に関して民族主義的イデオロギーと家父長制イデオロギーの双方が同時に作用していることを確認できる。

 また現代韓国の反共イデオロギーが支配的な雰囲気においては、韓国軍の非道を明らかにすること自体がレッドコンプレックスを刺激する可能性があった。
多くの女性たちが「アカ」と疑われることにより軍「慰安婦」となることを強要された状況もまた、反共イデオロギーと韓国軍「慰安婦」問題を分かちがたいものとしている。

 拉致により韓国軍「慰安婦」とされた女性たちに、真実を究明できる時代が来たのだとどんなに言っても、彼女たちは「私にこれ以上連絡するな」という言葉を残して口を噤んでしまう。それは、彼女自身が真実究明により苦痛を負うことを避けたいだけではなく、貧しい息子に軍「慰安婦」の子どもという足かせをかけたくないためでもあるだろう。

5 結論(p300)
(p300) 韓国軍「慰安所」が設置され、軍「慰安婦」が存在したことは厳然たる事実である。しかし1991年、金学順が「私は日本軍慰安婦であった」と告白したように、自らが韓国軍「慰安婦」であったことを証言する女性が出てくるかは疑問だ。
周辺の証言により韓国軍「慰安婦」であることがわかった二名の女性も、そうした事実を証言することを拒み、涙と沈黙で答えるのみであった。
韓国軍「慰安婦」問題に接近する過程でわかったことは、この問題が日本軍「慰安婦」問題と別個のものではなく、植民地主義が続く過程で現れたものであるという事実である。

 国家権力や家父長制イデオロギーにより日本軍「慰安婦」や韓国軍「慰安婦」がみな沈黙を強いられたという点で、二つの問題は同一である。だが、民族主義の異なった作用の仕方は、両者に差異を生じさせた。言い換えれば、日帝による軍「慰安婦」問題は、紆余曲折はあったが、加害者日帝に対し朝鮮人が問題提起することは当然であるという共感を得ることができたのに対し、韓国軍「慰安婦」問題については、韓国人だからこそ問題提起できないという情緒が相当に強かったようにみえる。2000年代に入り、韓国では民主主義の認識の成熟とともに過去事整理運動がどの時代よりも急進的に進められている。
国家暴力としての韓国軍「慰安婦」問題も、植民地清算、過去事整理運動の線上で真実が糾明されなければならない重要な問題である。

 人類史、特に近代資本主義の歴史を振り返ると、そこでは常に戦争と性暴力が繰り返されてきた。しかし、国家暴力としての性暴力が発生する動機には、男性の「節制できない性欲」よりも深刻な問題がある。戦時性暴力を通じて、直接的な加害者や国家権力は、他者に羞恥心と屈辱感を刻印して屈服させ、服従させることができる。ひいては純潔イデオロギーを用いて被害者に「汚された体」との意識を持たせ、そうした身体の政治学を通して、国家とは敵対的問題にならないようにした。そして、被害者が国家イデオロギー、反共イデオロギーを受容するように仕向け、国家に忠誠を誓わせる結果を生んだ。

 これまで韓国の国家権力は、数十年間朝鮮戦争期の韓国軍「慰安婦」、すなわち韓国軍性奴隷の問題を隠しつづけ、今でも反省の色を見せていない。
しかし韓国の学校教科書も教えているように、真実は勝利するのである。
韓国の民衆が数十年間、血と汗を流して独裁と闘い、あらゆる犠牲を払ってやっとの思いで獲得してきた民主主義の価値を、自ら投げ捨ててはならないのだ。
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