ソ連軍は満州で何をしたか

 日本の人的犠牲と物的被害
 昭和二十年八月九日午前零時を期して行われたソ連軍の満洲、樺太、千鳥に対する侵攻は、あらゆる意味で不当なものであった。 ここではソ連軍が満洲地区で日本人に与えた人的、物的被害を一覧表にして掲出した。 これをご覧になれば、ソ連が如何に無法で悪辣なことをしたい放題していったか、更には、日本の敗戦七日前に突然参戦したスタlリンの狙いもあわせお分かり戴けると思う。人的被害の中で民間人二十数万が死亡しているが、大東亜戦争の戦域でこれほど多くの死者を出し、しかもその多くが終戦を過ぎてからのものである。 このような地域は他に例を見ない。その上に現地人の妻となった婦人や、残留孤児となった乳幼児も数千人をくだらないのである。

 物的被害はこの表でも分かるように、現在の価格にしたら天文学的数字のもので、これらを掠奪同然に持ち帰り、または破壊したのである。一般的に、満洲国の産業施設の四割が撒去され四割が破壊されたといわれている。米国ポlレl委員会の報告は、その意味で大変貴重なものである。

 ソ連のこれらの行為に対し、中華民国は当然抗議をおこなった。満洲が中国領に復帰する以上、満洲における日本の財産と満洲国の遺産は、すべて中国に帰属するのが自然との理由である。この抗議に対するソ連の回答は、 「満洲の施設はソ連の『戦利品』とみなす」というものだった。

 何をかいわんやである。それのみかソ連軍は役務の報酬や資材の買人れに軍票を発行した。
公称九十九億円というが、そのため招いたインフレが日本人難民の困窮の度を一層高めた。日常物資の生産を行いたくともそれらの施設はすべて持ち去られるか破壊されていた。

 ソ連がおこなった占領政策は、大東亜戦争後のどの地域に較べても比較にならないほどその悪辣さが際立っている。そのために蒙った日本人の苦しみは、他の外地引揚者に比して格段に大きかったのである。

ソ連軍侵攻による人的被害(死亡者)一覧
各地の撤去状況

「昭和の戦争記念館 第2巻」展転社 名越二荒之助編から抜粋
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