「朝鮮雑記」日本人が見た1894年の李氏朝鮮

「朝鮮雑記」日本人が見た1894年の李氏朝鮮
本間九介著 (祥伝社・1800円十税)

 国家の近代化とは何か  
                                      書評 古美術鑑定家 中島誠之助
 この本は東京経済大学図書館に収蔵されている120年前の朝鮮旅行記の現代語訳である。
 監修者はアジア主義研究の第一人者であるポーランド生まれの歴史学者、クリストファー・W・A・スピルマン。
巻末に付録の解説を先に読むことをおすすめする。

 二本松藩(現福島県)出身のリポーターが朝鮮半島をくまなく探訪して、日清戦争直前の明治7(1894)年に 「二六新報」という当時の日刊紙に連載した紀行文だ。写真の代わりに筆者による風物スケッチが挿入されている。
 有名なイギリスの女性旅行家、イザベラーバードの「朝鮮紀行」より4年早く刊行された、先駆的紀行文なのだ。
伝えられていることは、単なる旅行記という範躊を超えている。明治の開明期を生きた若き日本人の率直な目が、国家の近代化とは何かを問いただしているのだ。

 全編158項目の一つ一つ、どれをとっても興味の尽きることはない。里謡、葬礼、娼妓、地方官、市場、寺院、気候、古美術、婚姻など、どれも現代の私たちの日常生活につながるものがある。もちろん、19世紀末の世界観と価値観にたって書かれていることを理解しなければならないが。

 筆者は当時の朝鮮王朝治世のもとで国民である韓人たちが不合理に苦しみ、その揚げ句に無気力なその日暮らしをしているありさまを偽らずに記述している。
 根底にあるのは、批判ではなく同情である。朝鮮半島の人々が理不尽な状況に耐えなければならないのは、どうしてなのか。筆者はその原因を、腐敗した李王朝とそれを支える清王朝にあるとみている。
 文中に豊富に登場する漢詩や熟語の解説も勉強になる。この本は現代日本に生きる私たちにも暗黙の警告を発しているのではないだろうか。

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