【朝鮮大学校 60年の闇(上・中・下)】

【朝鮮大学校 60年の闇(上)】
地獄の思想教育「祖国守る覚悟示せ」 容赦ない怒声、飲食も許さず 関係者が実情初めて吐露
 4月16日の昼下がり。北朝鮮の主席、金日成(キムイルソン)の前日の誕生日を記念した「日朝友好の集い」が朝鮮大学校内で盛大に開かれた。趣旨に賛同する日本人や、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の南昇祐(ナムスンウ)副議長ら大学関係者が顔をそろえた。
 朝鮮総連関係者によると、参加者らは案内係に促されるまま、キャンパス内の各施設を見学。同大は当初、予定していなかったにもかかわらず、教室の様子を要望に応じて公開するなど、サービス精神あふれるもてなしに終始したという。この時、参加者の一人は、室内で金日成と総書記の金正日(キムジョンイル)親子の肖像画が高々と掲げられているのを見た。
 同大が妄信する金一族崇拝教育の一端が垣間見えた瞬間だった。対外的にいくら取り繕っても、崇拝思想が在校生の体にしっかりと刻み込まれていることがうかがえる。
同大には特別な学部が2つある。朝鮮総連幹部を輩出する政治経済学部と、日本の小学校に該当する朝鮮初級学校の校長を養成する教育学部(3年制)だ。それぞれ金日成と金正日親子のマルスム(お言葉)によって「特別な学部」と定められた。ただ、同大は公の場で認めたことはない。
 両学部の在校生は卒業が近づくと、決まって研修旅行名目で北朝鮮へ渡航する。北朝鮮当局管理下の訓練所に3カ月以上も籠もり、金一族を神格化した革命史や朝鮮労働党の方針をみっちりとたたき込まれる。つまり、思想教育の総仕上げを本国で行うのだ。
 そんな思想に染まっていた政経学部出身の男性が、同大の実情を初めてマスコミに吐露した。男性は同大に教員として戻り、金一族への忠誠を誓う総連傘下の在日本朝鮮青年同盟(朝青)朝大委員会指導員にも抜擢(ばってき)された。エリート中のエリートだった。
朝青は全在校生の加入が義務づけられ、思想チェックは熾烈(しれつ)を極めた。
 同大寮の一室。指導員の男性は夕食後、ある班の在校生6人を床に座らせて仁王立ちになると、ある新入生を名指しした。
 新入生は声を絞り出すのが精いっぱい。容赦のない怒声で畳みかける。

 「敬愛する金日成首領様や金正日将軍様が送ってくださるお金で毎日、勉強できることを忘れたのか。明日の夜までに反省文を持ってこい」

 こうしたやりとりが夜まで続いても、飲食すら許されない。自己批判が足りないと何度も書き直し。来る日も来る日も…。些細(ささい)なことをやり玉に挙げ、長期間の徹底した個人攻撃で相手を支配下に置いてしまう-。金一族への服従を強いる忠誠心を競わせるためにほかならない。
「朝鮮大学校を存続させる選択肢はただ一つ。同大を支配下に置く朝鮮総連との関係を断ち切ることだ。それには今の朝鮮総連指導部に退陣してもらうしかない」     
 朝鮮大学校は4月に創立60周年の節目を迎え、金一族を絶対視した教育が繰り返される一方、その思想教育への反発も強まっている。秘密のベールに包まれた同大の実像に迫る。

【朝鮮大学校 60年の闇(中)】
美濃部亮吉都知事が「援護射撃」 慎重論押し切り学校認可 金日成氏への“手土産”

 「日本のビジネスマンの方ですか」
 昭和47(1972)年春、北朝鮮の平壌中央郵便局。日本から送付された新聞を受け取りに来た共産党機関紙「赤旗」の平壌特派員、萩原遼(79)=当時=は、愛くるしい笑顔が印象的な女性から突然、声をかけられた。
 見れば近くに50人ほどの男女の若者がいる。女性は萩原を貿易会社の駐在員と勘違いしたらしい。
 「いや、新聞社の特派員です。あなたたちも日本から来たのですか」
 朝鮮大学校の在校生約200人が、首相だった金日成の同年の生誕60年を盛り上げるため、北朝鮮が進めた帰国事業に応じて北朝鮮に渡っていたことは知っていた。彼女らが、その在校生たちだったのだ。
 「日本にいる母、家族への手紙をみんなで出しに来たのです」
 会話は5分で終わった。再会を模索したが、彼らの消息はつかめなかった。
 34年12月に始まった北朝鮮への帰国事業には「地上の楽園」といううたい文句に誘われて9万人超の在日朝鮮人らが参加した。
 ところが、実際は食事に事欠いたり、強制収容所に収監されたりする人が相次ぐ。惨状が知れ渡ると、参加者も減っていった。萩原は、同大の在校生が帰国事業の不振を糊塗する“貢ぎ物”としてかき集められたとして「前途ある若者に本当に惨いことをしたものだ」と述懐する。
金一族を支える同大を後押ししたのが当時の東京都知事、美濃部亮吉だ。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関係者によると、社会主義者を自任する美濃部は46年の秋、訪朝して金日成と2回も会談している。美濃部は一連の会談で社会主義下の平壌の現状を引き合いに出して、「資本主義の負けは明らかである」と断じたという。
 このとき、美濃部は43年に政府・自民党の慎重論を押し切って、同大を各種学校として認可した実績も“手土産”として持参した。各種学校として認可され、同大は固定資産税の減免措置など財政的なメリットを享受することになった。
 認可前の同大は34年に東京都小平市に移転する際、トランジスタラジオ製造工場の建設と偽装して、周辺住民の反対運動を封殺。さらに朝鮮総連は「民族教育は基本的人権だ」「学術研究の機会を奪うな」と主張して、認可実現に向けた大キャンペーンを展開。これに美濃部が応じたのだ。
 金日成は51年、同大の代表団と平壌で面談すると、「朝鮮総連が敵と堂々と戦えるのは、基地である朝鮮大学校を通じ、絶え間なく幹部を養成し続けているからだ」と満足げだったという。美濃部の“援護射撃”で同大の財政が安定し、結果的に総連幹部の育成が進んだ。
私立学校法では、都が認可した学校法人が法令違反した場合、解散を命じることが可能だ。
 平成24年3月、都議会文教委員会で当時、自民党だった野田数が北朝鮮による拉致問題を引き合いに「学校認可は完全に間違いだった」と見直しを求めたが、都側は態度を明確にしなかった。一方で、都は昭和40年に「各種学校として認可すべきではない」との文部事務次官通達を把握しながらも、認可に踏み切った事実を認めた。
 ただ、同大学長の張炳泰は、北朝鮮の国会議員にあたる最高人民会議代議員も兼務。同会議は、核開発を主導した総書記の金正日、第1書記の金正恩父子を絶対視しているが、都私学行政課は「認可基準に違反している認識はない」としている。
 社会主義の勝利を声高に叫んだ美濃部が恩恵を与えて育んだ同大。金一族崇拝思想の醸成が都の庇護下で脈々と続くことになった。(敬称略)

【朝鮮大学校 60年の闇(下)】
非公然組織メンバー育成 あらがえない宿命に悲哀
 朝鮮大学校文学部(現文学歴史学部)を卒業した男性は当時の校内に存在する奇妙な集団に気づいた。
彼らは週に3、4回、放課後になると決まって姿を消す。全寮制で寝食をともにする仲間の不審な行動に興味がわいた。
「お前たちは一体何をやっているんだ」
「言えない」
学費・寮費を免除されている「給費生」や、思想・出身成分に優れた「熱誠者」に限って隠密行動が目立つ。
やがて男性は、彼らが空手やテコンドーの厳しい訓練に明け暮れていることを知る。女性の在校生もいた。
「組織を守るためだ」
メンバーの一人が存在理由について絞り出すように放った一言が今でも忘れられない。
実は、こうした非公然組織は同大内にいくつもある。
北朝鮮の朝鮮労働党に直結する組織として、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の各組織を支配下に置いた「学習組」も存在した。複数の組織・集団が重なり合っていることも多い。
 実際に男性の証言を裏付ける事件があった。今年2月、同大の元経営学部副学部長が詐欺容疑で警視庁公安部に逮捕された。公安当局は北朝鮮から直接指令を受けた元副学部長が韓国での工作活動に関わったとみて事件化に踏み切ったが、東京地検は起訴猶予とした。
報道で逮捕を知った同大出身の知人男性は驚いた。元副学部長とは、第1書記の金正恩を絶対視する青年組織「在日本朝鮮青年同盟」で顔を突き合わせていたからだ。「面倒見の良い兄貴分だった。本国からの直接指令で動いていたとすれば、身近な者にも動きは分からなかったはずだ」と振り返る。
 また、同大理工学部の教員の多くは、北朝鮮のミサイル開発を後押しする在日本朝鮮人科学技術協会(科協)の会員を兼ねている。
 同大を起点に、非公然組織メンバーの育成とスパイ工作が疑われる同大元幹部の逮捕が行われたのだ。朝鮮総連が北朝鮮に盲従し、同大を「組織の生命線」として支配下に置く限り、この構造が変わることはない。
 一方で、同大の組織弱体化を物語る動きも活発化している。
 昨年春には、日本の高校に該当する、ある朝鮮高級学校運動部を全国レベルに引き上げた功労者である監督が突如、辞任した。同校関係者によると、辞任の理由は監督の長男が同大ではなく、日本の私大へ進学したためとみられている。
 さらに、朝鮮総連傘下の商工人から財政難にあえぐ同大について、「思想教育にこだわる朝鮮総連と、朝大の運営を完全に切り離すならば、資金援助をしても良い」という声まで上がっている。
実は同大もこうした動きを察知。飲酒、外出許可の基準を徐々に緩和して生活面の懐柔策を施している。加えて、弁護士や公認会計士の資格を取ったり、ファイナンシャルプランナーとして成功したりした優秀な卒業生の存在をマスコミを通じて対外的にアピール。新入生の誘い水として延命を図ろうと必死だ。
 2月に卒業生に配られた創立60周年を記念した朝鮮大学校同窓会会報には卒業生の就職先が列記されている。教員・学校関係34%、同胞団体・機関職員18%、経済団体・金融機関18%。ほとんどが朝鮮総連系の企業・団体だ。
 しかも、卒業生が「金正日(キム・ジョンイル)同志に捧げる歌」とした合唱公演の写真が掲載されるなど、金一族崇拝の念が随所に垣間見える。あらがえない宿命がどこまでも卒業生に付きまとう。朝鮮総連と同大の間に楔(くさび)を打ち込むのは容易ではない。(敬称略)
 この連載は産経新聞 喜多由浩、比護義則が担当しました。
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