アイヌの保護政策について「旧土人保護法」解説

北海道のアイヌの保護政策について「旧土人保護法」というのがあった。
この保護法については鈴木宗男氏をはじめとする政治家・官僚・メディア等はもちろんのこと一般国民は内容を知らずして「旧土人」という言葉の意味を知らずして国会において満場一致で廃止された。当時は私も内容を知らずしてずいぶんひどい法律があったものだと誤解していた。

先日”「アイヌ先住民族」その真実” 著 的場光昭 展転社を手に入れ、詳しく読んでみて我々は日本政府のアイヌ政策を誤解していると気づいたのだ。
この本は的場氏の力作であり北海道ばかりではなく全国民に是非読んでほしいと思い一部紹介する。

以下引用
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〈問十五〉 明治政府は具体的にどんなアイヌ保護政策をしたのですか?
答: 明治政府はこ貝してアイヌ保護政策をとり、彼等に対して授産と教化を進めてきましたが、充分な成果は上げられませんでした。それは物々交換経済のアイヌが貨幣経済に馴染めなかったことが最大の理由でした。明治二十四(一八九二)年、道庁が授産指導を廃止すると、彼等は再び耕地を捨て放浪する者が現れ、その結果、彼らの耕作地は、焼酎一本、酒1升で人手にわたり、政府が与えた彼らの生活基盤の多くが失われてしまいました。こうしたアイヌの窮状を救う目的で、明治二十六年、加藤正之助によって第五回帝国議会に北海道土人保護法案が提出、アイヌ自身も代表を送り法案成立を目指して国会に陳情しました。
 この法案がなんら差別的でないことは、「北海道の旧土人即ちアイヌは、同じく帝国の臣民でありながら、北海道の開くるに従って、内地の営業者が北海道の土地に向つて事業を進むるに従ひ、旧土人は優勝劣敗の結果段々と圧迫せられて同じく帝国臣民たるものが、斯の如き困難に陥らしむるのは、即ち一視同仁の聖旨に副はない次第と云ふ所よりして、此の法律を制定して旧土人アイヌも其所を得る様に致し度いと云ふに、外ならぬことでございます」という提案理由からも明らかです。

〈問十六〉旧土人保護法とはどんな法律ですか?
答: 明治三十二年に制定された北海道旧土人保護法は、先に示したその提案理由「北海道の旧土人すなわちアイヌは、同じく日本の国民でありながら、北海道の開拓にしたがって、内地の営業者が北海道の土地に向って事業を進め、旧土人は優勝劣敗の結果段々と圧迫せられて、同じく日本国民でありながら、このような困難に陥ったことは、国民は平等だという天皇陛下のおぼしめしにそぐわない。よってこの法律を制定して旧土人アイヌも幸せに休らせるようにしたいという目的に外ならぬことでございます」からも差別的な法律ではありません。文意を損ねることなく分りやすいように現代語に訳して全文を紹介し、一部解説(※)を加えます。

◆北海道旧土人保護法
 第一条 北海道旧土人で農業をしたいと志す者には一戸につき土地一万五千坪(五町歩:約五ヘクタール)を無償で与える。
   ※無償下付五町歩は民間開拓に下付された面積と同じ、屯田開拓は三町五反でした。
 第二条 前条で与えられた土地の所有権には以下の制限に従うこと。
  一 相続以外は他に譲渡することはできない。
   ※契約に不慣れなアイヌが土地を和人に馴し取られることを防ぐためです。
  二 質権・抵当権・地上権・永小作権は設定できない。
   ※和人に借金のかたとして取られたり、占有されてしまうことを防ぐためです。
  三 北海道庁長官の許可がなければ地役権を設定することはできない。
   ※地役権は他人の土地を自分の土地の便宜のために使用する権利。例えば通路としたり水路を掘ったりすること。
  四 留置権・先取特権の目的とすることはできない。
   ※留置権は借金の返済までその占有をすること。先取権は他の債権者より優先してその所有を主張できること。
    前条で与えられた土地はその年より起算して三十年間は固定資産税と地方税を課さない。また登録税を徴収しない。旧土人で以前より所有した土地は北海道庁長官の許可なく相続以外の譲渡や質権・抵当権・地上権・永小作権・地役権は設定できない。
   ※上記の和人からの保護に加え、三十年間も免税という直接保護政策がなされています。
 第三条 第一条によって与えられた土地でもその年より起算して十五年しても開墾されない部分は没収する。
 第四条 旧土人で貧困の者には農具及び種子を給付する。
 第五条 旧土人で傷病者や病気で自費治療することができぬ者はこれを救済して薬代を支給する。

 第六条 旧土人で怪我・病気・身体障害・老衰・幼少のため自活することができない者は従来の規則により救済するほか、死亡した場合には埋葬料を支給する。
  ※アイヌの生活に関しては特別の配慮がなされていました。
 第七条 旧土人の貧困者の子弟で就学する者には授業料を支給する。
  ※今でいう奨学資金制度です。現在でも道はアイヌ系日本人の子弟に対して特別の奨学資金を出しています。
   アイヌ修学資金一昭和五十七年からの二十五年間で道は九百八十九人に対して二十四億九千百四十一万円を貸付け、二十一億千六百十二万円を減免、さらに返還に応じたのはたった一人百五十九万円でした。年収五百八十五万円以下で返済免除。大学の通信教育の受講生に十四年間で千二百十三万円を貸し付け、返還を免除したという例もあります。私や私の姉兄も皆高校・大学と日本育英会の奨学金を借りましたがちゃんと返済を終えています。開拓農家の四代目である私たち姉弟からすると途方もなく優遇された制度だと思います。
 第八条 第四条と第七条に要する費用は北海道旧土人共有財産の収益をあて、不足のときは国庫より支出する。
  ※旧土人共有財産は明治政府がアイヌ授産のために与えた居留地・農地・漁場など。
 第九条 旧土人の集落のある場所には国庫によって小学校を設置する。
  ※労働力として子弟を家業に使用したり、子守に出して酒代を稼がせたりするアイヌの子弟に学校教育を受けさせるために、学資や弁当を支給したり通学生に対して奨学金を与えたりしました。
  ※マラリアをはじめ疥癬(七・二%)・トラホーム(三(・四%)など風土病や伝染病の罹患率が高く、これを改善するために学校で入浴させたり散髪したりと現場の先生は大変苦労しかことが記録に残っています。
  ※後にアイヌ子弟と和人子弟を分けて教育したことを差別とする向きもありますが、その理由として入学前にある程度家庭で教育されている和人と同列教育できないことや、朝食を遅くとるアイヌ家庭の習慣に合わせて授業開始を遅くする必要、さらには学校での入浴や学用品支給・給食などを考え合わせると同じ課程での授業は困難でした。
 第十条 北海道庁長官は北海道旧土人共有財産を管理する。
    北海道庁長官は内務大臣の認可を経て共有者の利益の為に共有財産の処分をし、必要と認めるときにはその分割を拒むことができる。北海道庁長官の管理する共有財産は北海道庁長官がこれを指定する。

 第十一条 北海道庁長官は北海道旧土人に関しては警察令を廃して、これに二円以上二十五円以下の罰金、若しくは十一日以上二十五日以下の禁固の罰則を与えることができる。
   ※警察令は軽微な犯罪に対しては裁判なしで最寄の警察署長が処罰することができた制度です。
 付則
 第十二条 この法律は明治三十二年四月一日より施行する。
 第十三条 この法律の施行に関する細則は内務大臣がこれを定める。

 いかがでしょうか。差別どころか、アイヌの保護を目的とした法律だったことは明らかです。事実、この法律の成立を願ってアイヌ自身が代表を議会に送り陳情したことは何度記しても強調しすぎることはありません。




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