北海道が危ない 第5部(上・中・下)苫小牧駒沢大が中国化する

【北海道が危ない 第5部(上)】2017.6.19
苫小牧駒沢大が中国化する 譲渡先法人理事「中国共産党員」系列高は田中将大投手ら卒業の名門

 大リーグ・ヤンキースで活躍する田中将大投手やスピードスケートなどでオリンピックに7回出場した橋本聖子参院議員らを輩出した名門、駒澤大付属苫小牧高校を擁する学校法人駒澤大学(須川法昭理事長)が今年1月、傘下の苫小牧駒澤大学(以下苫駒大)を中国と関係が深い京都市の学校法人に無償で移管譲渡することを決めた。すでに協定書を交わし、文部科学省に設置者変更を申請、認可されれば、来年4月1日から、苫駒大の名前が消える。一部大学関係者や寄付行為者である曹洞宗の関係者の間では、移管譲渡までの経緯が不透明なうえ、苫駒大が“中国人大学”になり、駒大グループが“中国化”するのではないかという不安が広がっている。一体、何が起きているのか?
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 移管譲渡を受けるのは「学校法人京都育英館」(松尾英孝理事長)。平成25年4月に設立され、京都看護大学や苫小牧市に隣接する白老町で北海道栄高校(生徒数371人)の運営を手がけている。同法人を設立した「学校法人育英館」(同理事長)は、京都ピアノ技術専門学校や関西語言学院(京都市)、四万十看護学院(高知県四万十市)を運営、中国・瀋陽市では、東北育才外国語学校を設立、経営している。

 ホームページによると、関西語言学院は、中国の高校や大学を卒業した学生を日本の大学や大学院に進学させるための日本語学校。在籍する学生は昨年7月現在で540人で、全員が中国人だ。東北育才外国語学校は東北育才学校(瀋陽市)と共同で設立した中高一貫校で、日本語教育を展開。東北育才外国語学校から関西語言学院、そして日本国内の大学へというルートを構築してきた。

民間調査機関によると、27年5月8日現在、「学校法人育英館」には、中国人2人が理事に名前を連ねている。この理事について、駒大関係者はこういう。

 「調査した結果、1人は中国共産党員だった。東北育才外国語学校の終身校監で、東北育才学校の顧問をしている。過去に全国先進的従事者(全国模範労働者)として表彰されるなど有力な人物だと分かった」

 業務内容や理事の顔ぶれから、中国との関係が相当強いのが分かる。

 譲渡されるのは、苫駒大の敷地15ヘクタール(10ヘクタールは苫小牧市からの無償譲渡で、5ヘクタールは無償貸与)と校舎、図書館(蔵書数10万4千冊)、備品類で、全て無償だ。総資産は約40億円で雑書類や備品を加えると50億円を超えるという。

 協定書案によると、移管日は30年4月1日で、「新たな学校名称に『駒澤』『駒沢』『KOMAZAWA』の文字は使用しない」「教職員の人事異動や給与、その他の変更等、管理運営については一切駒大は関与しない」などとなっており、全て京都育英館主導で運営されることになる。
 現金を伴わない完璧な“買収”だ。
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 中国による他国の教育機関の買収は韓国でも行われている。
 昨年6月28日付の韓国の全国紙ハンギョレ(電子版)は、中国の武昌理工学院が廃校の危機にある韓国・韓中大学(江原道東海市)の買収計画を伝え、「自国の戦略と要求の中で韓国の大学を対象とした買収が行われているため、韓国の高等教育の発展に役立つかは疑問だ」という識者の見解を紹介している。

 京都育英館の進出で、苫駒大が中国化する懸念が十分に予想される。苫駒大関係者は「中国名の大学になる可能性もある」と前置きした上で、こう話した。

 「文科省の認可を受けてから生徒を募集しても集めるのは難しい。結局、中国の留学生を受け入れることになるでしょう。教職員や語学留学生を含め中国人がドッと入ってきて、大規模な中国人大学になる可能性がある」

 岩倉博文苫小牧市長は「少子化の中で、苫駒大の現状を考えると、一定の定員を確保しながら存続していくのは難しい。廃校を避けたいという思いが強く、やむを得ない選択だった」と苦しい胸の内を明かす。

 駒大の理事の一人はこう言って眉をひそめた。
 「日本の有名大学を卒業した中国人エリートに聞くと『間違いなく乗っ取りだ。それに駒大が協力したということ』という答えが返ってきた」

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 京都育英館に移管譲渡されることで、苫小牧駒澤大はどう変わるのか? 地元メディアは、文部科学省への設置者変更の認可申請が認められるのを前提に、京都育英館と中国との深い関係を好意的に捉え、新大学設立に期待を寄せる。一方で苫駒大関係者からは「情報が錯(さく)綜(そう)していて、実際にはどうなるのか分からない」(元職員)と不安の声が。
学校法人京都育英館はどう考えているのか?
 松尾英孝理事長は産経新聞の取材に「文科省の認可が出れば大学名を決め、来年度からの学生募集を始める」とした上で「運営理念は地域貢献で地元に貢献するのは日本人でも中国人でも構わない。躍動感のある大学にするために、系列の中国の語学学校などからの受け入れを進めるが、当面は日本人学生だけを募集する」「来年度から四年制大学を造る。平成31年度から看護学部など学部、学科を増やしていき、単科大学から総合大学への移行を目指す」-と構想を述べた。

 苫駒大の川島和浩学長(54)も「松尾理事長は説明会で『ビジネスの視点から経営がしっかりできる大学に立て直したい。3年後ぐらいにはプランを持っている。文科省の認可が下りた段階で公表していく』と強調していた」という。
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 だが、こうした構想に懐疑的な見方も根強く、苫駒大や曹洞宗の宗門の関係者の間では、さまざまな臆測が流れている。
 その一つが、中国人留学生の大量流入だ。

 川島学長によると、松尾理事長は「日本人が集まらない場合は、中国とのルートで留学生を受け入れることも一つの案としてあり得る」と話したといい、同理事長は地元紙のインタビューでも「学生全体の2割程度を外国人学生とし、積極的に受け入れる。東北育才外国語学校の生徒が苫小牧の大学に進学することもあり得る」と述べるなど、中国人留学生の受け入れには前向きだ。

 苫駒大の元職員は「苫駒大は以前、中国人留学生を大量に受け入れたことがある。その際、いろいろな問題が起きた。中国人留学生が増えると、苫小牧がどういうことになるか」と表情は暗い。

北海道栄高校の移転の有無も不安材料の一つだ。京都育英館は、栄高校を苫駒大の敷地内に移転、新しい大学の付属高校化を検討しているとされるからだ。

 駒大は記者会見などで、付属苫小牧高校は駒大が運営を続けるとしているが、松尾理事長は産経新聞の取材でも「栄高校は、連携すれば面白いことができる」と移転をにおわせており、苫駒大関係者からは「栄高校が移転してくると、付属苫小牧高校と競合し、経営は圧迫される」と、存続を危ぶむ声が聞かれる。

 さまざまな臆測が飛び交う中、京都育英館の今後の方針について、岩倉博文苫小牧市長は「全て認可されてからのこと。今後のことは非公式には聞いているが、現段階でそれを明らかにすることはない」と口は堅い。
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 移管譲渡については、曹洞宗関係者は強硬に反対している。譲渡決定への過程が不透明だからだ。

 京都育英館への移管譲渡が公にされたのは、今年1月26日の法人諸学校管理運営検討委員会と理事会、評議員会だった。
 出席した理事の一人はこう振り返る。
 「事前に配布された案内状では『苫小牧駒澤大学の経営方針について』が議題となっていた。ところが、須川法昭理事長が突然、京都育英館へ移管するという声明文を読み上げ、移管協定書案や記者会見などのスケジュールがまとめられた分厚い資料が配られた。全員、寝耳に水の話で、こんなに準備がそろっているのか、と唖(あ)然(ぜん)とした」

 この理事はさらに、「本来、駒澤大学の寄付行為については、重要な案件に関しては資料を1週間前に配布することになっている。緊急の場合はこの限りではないが、今回のケースは緊急でも何でもない。苫駒大の再生の道はある」と不満を募らせた。

 全てが極秘裏に進められたようだ。

 川島学長も「理事会の翌日、急(きゅう)遽(きょ)、招集がかかり、理事会の決定を聞いた。どうしてこのタイミングなのか? どうして京都なのか? なぜ、こんなに急ぐのか? と教職員全員が驚いた」という。

 どういう経緯で移管譲渡が決まったのか? 須川理事長は、記者会見で、入学者減による財政状況の悪化を挙げたが、その後は沈黙を守り、産経新聞の個別取材にも「現在、認可申請中のため、取材をお受けすることをご遠慮いただいております」(駒大広報課)としている。

駒大は、再建のためとはいえ、どうして突然、中国との関係が強い京都育英館への移管譲渡を決めたのか? しかも、無償で。苫駒大の教育理念はどうなるのか? 宗門関係者はいう。

 「疑問が膨らむばかりだ。中国は京都育英館を通して、駒大本校にも進出してくるのでは…という不安もある」
 曹洞宗寺院の最高議決機関、宗議会は、移管譲渡の白紙撤回を求めている。
 (編集委員 宮本雅史)

【北海道が危ない 第5部(中)】
中国資本が苫小牧にも触手…「二束三文の土地を10倍の値段で」

 豊富な水と木材資源に恵まれ製紙業で知られる北海道苫小牧市は東西39・9キロ、南北23・6キロと、東西に細長く広がる。苫小牧港は札幌市に最も近い太平洋岸の港で、新千歳空港にも近接しているため、釧路市同様、北海道を代表する工業・港湾都市でもある。

 同時に、千歳市との境界には三重式活火山の樽前山がそびえ、市東部にはラムサール条約湿地に指定されるウトナイ湖があり、樽前山を含む周辺の10万ヘクタールは支笏洞爺国立公園に指定されている。
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 平成20年、この支笏洞爺国立公園に隣接する1千ヘクタールの森林地帯(苫小牧市植苗)に大規模なリゾート施設の建設構想が持ち上がった。

 当初は森林の4%を開発してリゾート施設にし、収益は残り96%の森林保護に充てる計画だったが、その後、計画は紆余曲折。開発候補地の所有権と開発権は、不動産開発やホテル運営などを手がける森トラストの関連会社、MAプラットフォームに移転した。地元紙などによると、同社は330室のホテル3棟と別荘用コテージ40棟を建設するほか、商業施設や高度医療施設の整備など、富裕層を対象に長期滞在型リゾートを開発、32年の一部開業を目指していたが、統合型リゾート(IR)誘致の予定地が計画地に近いことからIR誘致の動向を見極めながら計画を練り直すことにしたという。
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 実は、この計画に、中国人女性実業家が土地の売買段階から関係していた。女性は目黒雅叙園(東京)の買収、売却劇にも登場する。

 中国と関係の強い学校法人京都育英館に譲渡されることが決まった苫小牧駒澤大の関係者や市関係者によると、苫小牧は北海道でも気候は温和で積雪量も少ないことから、中国資本は買収、開発に関心を持ってきたという。彼女もその中の1人だった。

 開発候補地の森林は、この女性の会社が所有者から購入、MAプラットフォームに転売しており、巨額の転売益を得たとされる。経緯を知る人物によると、女性は「アリババの会長らを連れてきて、中国人の集落をつくりたい」と話していたという。

 女性を知る道内の不動産業関係者によると、彼女は、千歳市の高級住宅街に別荘を持ち、富良野市をはじめ道内の不動産に関心を見せていたという。実際、昨年1月、苫小牧市ウトナイに札幌地方木材林産協同組合連合会が所有していた土地約1万5千平方メートルを会社名義で1億5千万円で購入している。抵当権はついていない。新千歳空港とJR苫小牧駅のほぼ真ん中にあり、新千歳空港までは車で約20分と、立地条件はいい。四方を道路で囲まれ、住宅地として区画整理されているため、いつでも、ホテルなどの建設は可能だ。

女性は購入の際、「これから中国人の人口が増えるから学校が欲しい。富裕層の子供を連れてきて、中国人と日本人のインターナショナルスクールを造りたい」「150室ぐらいの中国人用のホテルを建てたい」と土地購入の理由を話していたという。

 彼女は、昨年2月18日に行われた日本貿易振興機構(ジェトロ)と北海道主催の「北海道観光投資誘致セミナー」に登壇、苫小牧のリゾート開発について魅力と可能性を語っているが、苫小牧市は新千歳空港と港が近いため、中国資本にとってはおいしい地域なのだろう。苫小牧市民や同市関係者によると、市の周辺は中国資本に買収されている可能性のある土地が多いという。
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 手つかずの自然が残り、空港や港に近い苫小牧は拠点にするには最適だ。苫小牧駒澤大の関係者や市議会関係者らによると、苫駒大が所有する15ヘクタールもの土地が京都育英館に譲渡されることに、一部市民からは苫駒大の移譲移管が中国の“苫小牧拠点化”に拍車をかけるのではという不安がくすぶり始めているという。

 中国資本が道東の社会、経済、文化の中心的機能を担っている釧路市とその周辺に、陰に陽に関心を寄せていることはこれまで報告してきたが、苫小牧の宗教関係者は釧路町の寺院を例に挙げ、こう話した。

「中国人が、二束三文の土地を10倍ぐらいの値段で買いたいと来るらしい。お寺の土地は檀家のものなので、売買できないが、単価はかなり高くなっているようで、『売ってくれ、売ってくれ』としつこいと聞いた。お寺の土地にまで関心があるのには驚く」

 釧路は、習近平国家主席が提唱した「一帯一路」構想ではアジアの玄関口と位置付けられており、中国の激しい“拠点構築計画”を象徴している。防衛省関係者の話では、中国は、苫小牧も釧路と同様に太平洋に出る玄関口と捉えているという。

 土地問題に詳しい小野寺秀前道議はこう話す。

 「イメージ的には、北海道の南部が押さえられている。北側はロシアがいるからか、不思議と押さえられていない。昔から、北はロシア、南は中国と線引きされていた。釧路や苫小牧を押さえれば、太平洋沿岸の拠点になり、津軽海峡から太平洋に抜け自由に動けるようになる」
 (編集委員 宮本雅史)

【北海道が危ない 第5部(下)】
中国大使の釧路訪問がきっかけか トマム、スイス牧場、豊糠…何かが一斉に動き出した

 本連載を始めて1年余り。中国資本の影が見え隠れする地域の現状を報告してきた。1年がたち、どうなっているのか? 4月下旬、何カ所かを訪ねた。

 一昨年、中国の商業施設運営会社「上海豫園旅游商城」に買収された「星野リゾートトマム」(北海道占冠村)。名前はそのままだが、代表者は上海豫園旅游商城に変わり、星野リゾート(長野県軽井沢町)は運営管理だけだ。

 上海豫園旅游商城の大株主の中国民営投資会社「復星集団」(フォースン・グループ)は隣のリゾート地「サホロリゾートエリア」(北海道新得町)で宿泊施設を所有するフランスのリゾート施設運営会社「クラブメッド」も買収しており、星野リゾートトマムもサホロリゾートも完全に中国資本の傘下に入っている。

 そのトマムの西エリア地区を訪ねると瀟洒(しょうしゃ)なホテルやコンドミニアムが建ち、新しいホテルの建設も始まっている。一つの集落だ。

 占冠村によると、同地区は、星野リゾートトマムと村が賃貸借契約を交わしていたが、営業を停止していた。今回、星野リゾートトマムが休眠状態だった3棟の施設を約300室の宿泊施設に改造。センター棟を建設し、今年12月をめどに経営を再開、クラブメッドが運営するという。

 同村は、土地を含めた全ての不動産を星野リゾートトマムに売却する方針だ。

 長年、道内での中国資本の動向を注視してきた小野寺秀前道議は、「中国資本が買うという話は聞いていたが、これほど進んでいるとは思わなかった」とした上で、「中国資本がこれほど大規模に動いているとなると、1万人規模の大規模なチャイナタウンができる可能性がある」と驚きを隠さない。          
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 日高山脈・十勝幌尻岳山麓のスイス牧場はどうなっているのか?
昨年初夏、訪ねたときは森林に覆われ、“牧場”内を見ることはできなかった。ところが、その雑木林が切り取られ、森林に埋もれていた「帯広南の丘 スイス牧場 Shouwa 95nen beginnen」と書かれた看板は裸同然だ。入り口には「私有地につき立入厳禁」の看板があり、監視カメラがにらんでいる。入り口から30メートルほど先は山にぶつかり、斜面に沿って道路が山頂に延びている。車の通行跡が人の出入りの激しさを物語っている。

 山の上で何が行われているのか? 航空写真で確認すると、山の頂は平らで、台形のような形なのが分かる。広さは0・5ヘクタールほどだ。高台では牛を飼っても放牧できない。わざわざ、高い所を買うメリットはあるのだろうか?

 JA帯広かわにしと大正農協、帯広市農政課に確認すると、昨年と同様、「知らない。スイス牧場の名前も聞いたことはない」。

 一体、だれが何をしているのか? なぜ、突然、動き始めたのか? 看板にある「昭和95年」を目指しているとすると、あと3年しかない。だから、急いでいるのか。     
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 中国と関係があるとされる農業生産法人に村がほぼ丸ごと買収された平取町豊糠はどうか?

 昨年は買収から5年たったにもかかわらず雑草や雑木が伸び放題だったが、再訪すると、雑草が刈り取られ、管理が行き届いているように見える。
 だが、地元住民はいう。 「雑草をただ刈っただけ。非耕作地であることには間違いない」
 柳を避けて周りの雑草だけを刈っているところもある。

「雑木を残して荒れ放題にしておくと雑種地に地目変更できる。変更すれば、自由に売買できるし、住宅や建物も建てられる。変更を狙っているのではないか」

 別の男性住民はこう言うと「農業委員会に申請すれば変えられるが、委員会の中には農業生産法人の関係者も入っている。最初から、地目変更を考えていた節がある」と続けた。
 こんな証言も耳にした。

 「卵形の旧式のヘリが低空飛行で行ったり来たりしている。普通はヘリの下に会社名などを書いているが何も書いていない」

 「スーツ姿の中国人のような若い男女が何人か2台の車に乗り、豊糠方面に来た」

 買収したものの、そのまま放置し、沈黙を保っていた何かが一斉に動き出しているのを感じる。小野寺前道議は答えを探すようにこう言った。

 「昨年5月の中国大使の釧路訪問に引っ張られるように、全てのことが同時並行に動き始めたようだ。これから何が起きるのか。不安に思っていたことが、形となってくるのが怖い」(編集委員 宮本雅史)
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【北海道が危ない 第4部(上・中・下)】

【北海道が危ない 第4部(上・中・下)】2017.2.24
中国、釧路を“北のシンガポール”に 「孔子学院」開設計画、不動産の買収…拠点化へ攻勢

 北海道の東部、太平洋岸に位置し、「釧路湿原」と「阿寒」の2つの国立公園を擁する釧路市は、国際バルク戦略港湾に選定された釧路港や釧路空港を抱え、東北海道(道東)の社会、経済、文化の中心的機能を担っている。
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 この釧路市を昨年5月21日、中国の程永華駐日大使が訪問、7カ月後の12月9日には張小平1等書記官(経済担当)も足を運んだ。張1等書記官は、釧路空港上空まで来たものの降雪のため着陸できず、羽田空港まで引き返したが、即日、釧路に向かっていた。
 大使は蝦名大也釧路市長との会談で、「釧路市が民間・地方外交を積極的に進め、中日関係の改善と発展を後押しするためにさらなる努力をされるよう期待している」とラブコールを送った。
 その後、中国大使としては初めて、中国人らの研修生を受け入れている石炭生産会社、釧路コールマイン本社(釧路市興津)を訪問。「交流を強化し、両国の経済協力に力を注ぎ続けてほしい」と要望した。
 程大使は、平成26年10月に札幌市で行われた北海道日中友好協会創立50周年記念講演でも、「北海道の対中協力には非常に大きな潜在力がある。特に若者が中日友好事業に参加するよう導くことを希望する」と北海道に強い関心を示している。
一方、張1等書記官は、釧路日中友好協会(中村圭佐会長)の28年12月例会で、習近平国家主席が提唱した経済圏構想「一帯一路」に触れ、「中国は北極海航路の試験運用を本格化している。釧路はアジアの玄関口として国際港湾物流拠点としての成長が期待できる」と強調。同月13日付の釧路新聞でも「釧路は北米にも近い。将来は(中略)南のシンガポール、北の釧路といわれるような魅力がある」と語っている。
 1等書記官の訪問にあわせ、中国財界人も釧路市を視察。国際チャーター便の乗り入れや銀聯(ぎんれん)カードの決済店の普及・拡大を求めている。
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 釧路を拠点にしたい、という中国の思いは想像以上に強い。釧路日中友好協会の上見国敏事務局長によると、駐日大使館の重鎮が23年以降、頻繁に釧路を訪ねているといい「釧路に興味があるのは間違いない」と断言する。蝦名市長には大使館関係者から直接、中国政府系の文化機関「孔子学院」開設の打診があり、開設計画が現実的に検討されているという。
 道東は自衛隊の基地も密集する、国防上の要衝でもある。
 釧路市は「中国が北極海航路に関心を持っているのは聞いているが、中国資本が急に活発化したという実感はない」と悠長に構えるが、防衛省関係者らは、「国防面でも経済面でも海洋進出をもくろむ中国がまず、中央突破しなければいけないのは、太平洋に出ること。その拠点として釧路を押さえるのが狙いだ」と分析、「すべて習主席の指示を受けた国家戦略なのは間違いない」と危機感を隠さない。
 危機感を煽(あお)るつもりはない。だが、連載第1部で、新千歳空港近くの高台に、中国人専用の別荘地を開発した家具・インテリア販売会社が、当初、同地に1万人の中国人が住めるよう1千棟の別荘を建設する予定だったことを報告した。この計画を調査した小野寺秀前道議によると、同社は当時、釧路に同規模の別荘を建設する計画を立てていたという。前道議は「なぜ、釧路なのかと疑問を持ったが、今から考えると、釧路を拠点にするという計画は当時からあったのかもしれない」と振り返る。そして釧路市や隣の白糠町で、不動産が買収され中国系の企業が進出していることをあげて、こう話した。
 「すべてがつながっているようだ」

◆学校、産業…浸透する影
 北海道・釧路地方は寒冷地だが積雪が少なく、日照時間も長いことから、メガソーラー(出力が1メガワット以上の太陽光発電所)の稼働に適しているといわれる。
 釧路市役所から国道38号を西に約15分。星が浦地区の工業団地に太陽光パネルが整然と並ぶ。4万平方メートルの敷地に1万200枚のパネル。平成25年3月竣工(しゅんこう)の「星が浦ソーラーウェイ」(出力1・5メガワット)だ。
 同市音別町の音別工業団地でも、1万7500平方メートルの敷地に4680枚のパネルを擁する「音別ソーラーウェイ」が稼働している。2カ所とも、日本アジアグループ(東京)傘下のJAG国際エナジー(同)が、施工・監理業務を手がけた
同グループは、JAG国際エナジーのほか、航空写真の有力会社・国際航業や宮崎ソーラーウェイ、おきなわ証券…など28の企業を抱え、北京など7カ所に海外拠点を置く。グループ設立当時、社長だった中国人が現在も役員に名前を連ね、国際航業の会長を兼務する。北海道での太陽光発電事業は、JAG国際エナジーが6カ所、国際航業が3カ所で展開しており、さらに増える計画だという。
 一方、釧路市愛国では韓国企業が太陽光発電事業に進出している。ホームページによると、この企業は中国とも関係が深く「中国市場でのビジネス機会がいっそう拡大していくことを期待している」としている。
                 
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 釧路市の隣にある白糠町。国道38号沿いに広がる「釧路・白糠工業団地」(308・1ヘクタール)は、釧路空港や釧路西港、釧路駅まで、車で20分圏内にある。その一角に、瀟洒(しょうしゃ)な低層の建物が数棟立っている。札幌市に本社を置く中国系貿易会社の白糠工場だ。ホームページによると、エゾシカ肉の製造販売を行っているという。敷地面積は2万5千平方メートルで、敷地内にはヘリポートもある。
 同町によると、もともとは前橋市の織物会社の絹工場だったが、撤退したため、中国系企業が約2億5千万円で買収した。
 町の担当者によると、いずれは、中国人観光客を呼びレストランなどを経営したいと話していたという。だが、事業内容を確認しようと社長に連絡をとったところ、中国語なまりの日本語で「中国の企業ではない。日本の企業で中国とは全く関係ない」と一気にまくし立てられた。
この工業団地では、業務用食品販売会社が、木質バイオマス発電施設を建設するために1万3千平方メートルの土地を購入している。販売会社は、中国に子会社を持っており、関連会社の農業生産法人は、日高山脈の麓にある平取町豊糠で全農地の半分余りの123万3754平方メートルを買収している。
 計画では今年4月に事業を開始するはずだったが、訪ねてみると、木材は山積みされているものの工事は始まっていない。
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 大使の訪問後、釧路日中友好協会の北京事務所が開設されたほか、釧路では協会などの主催で「『一帯一路』構想と釧路について勉強会」(9月10日)や「釧路の重要性確認のため北京訪問」(9月24日)、「中国経済から見える釧路の未来」(10月13日)…などの行事が行われている。
 中国語教育にも熱が入っており、札幌大孔子学院が集中講座を開いたほか、白糠町では22年度から、小中学校を対象に中国人講師による中国の歴史、文化の紹介に加え、年間10回から15回、中国語教育を取り入れている。
 学校関係者によると、同町では数年前から幼稚園や小中学校の職員室を中国語表記するなど、中国語の掲示も多いという。北海道白糠高校では、毎週月曜日に1年生を対象に中国人講師による中国文化の勉強会を開いていたが、26年度からは中国語を学校設定科目に指定。28年度は、2年生は基礎中国語を、3年生は応用中国語を選択科目に指定しているという。
 中国が拠点と捉えている釧路市とその周辺地域では、水面下で中国の姿が浸透しているのを実感する。
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 長崎県・対馬の不動産が韓国資本に買収されていることが表面化して8年。新たに北海道が中国資本の“標的”となっていることで、自民党や日本維新の会はようやく、外国資本の不動産買収に対する法規制強化に向けて動き出した。だが、中国資本の勢いは衰えていない。改めて、現状を報告する。

【北海道が危ない 第4部(中)】2017.2.25
中国資本の影が忍び寄る「北海道人口1000万人戦略」のワナ “素性”不明の発電所が多数存在…跡地は誰も把握せず

 平成17年5月9日、JR札幌駅近くの札幌第1合同庁舎で、国土交通省と北海道開発局の主催で「夢未来懇談会」なる会合が開かれた。懇談会では通訳や中国語教室などを手がける北海道チャイナワーク(札幌市)の張相律社長が、「北海道人口1000万人戦略」と題して基調講演し、参加者を驚かせた。

 北海道開発局によると、張氏は、今後、世界は「資源無限から資源限界に」「自由競争社会から計画競争社会に」「国家競争から地域競争に」なると分析。北海道は世界の先進地域のモデルになる可能性が高いとし、「北海道の人口を1千万人に増やせる」と提言した。そのための戦略として
(1)農林水産業や建築業を中心に海外から安い労働力を受け入れる
(2)北海道独自の入国管理法を制定し、海外から人を呼び込む
(3)授業料の安いさまざまな大学を設立し、世界から学生を募集する-などの持論を展開した。

 なかでも入管法については、「北海道に限定し、ノービザ観光を実施し、観光客を増やす」「住宅など不動産を購入した裕福な外国人には住民資格を与える」「留学生を積極的に受け入れ、北海道に残る仕組みを作る」「研修制度を廃止し、正式な労働者として労働力を受け入れる」「北海道から日本のほかの地域に行くときは日本の入管法に適応させる」…と、北海道を限定とする具体的な制度見直しを提示した。その上で札幌中華街を建設し、国際都市の先進地域として地位を確立する、などと強調したという。

関係者によると、1千万人のうち200万人は移住者とすべきだと力説したとも言われる。

 本連載の第3部で、「一部中国メディアの間では、北海道は10年後には、中国の第32番目の省になると予想されている」という在日中国人のチャイナウオッチャーの言葉を紹介したが、張氏は昨年、筆者との電話でのやりとりの中で「32番目の省の話は大陸でも言われている」と語った。

 中国資本の動向を検証している複数の専門家の話を総合すると、北海道で中国資本に買収された森林や農地などは推定で7万ヘクタール。山手線の内側の11倍以上の広さにのぼり、うち2、3割は何らかの意図があるという。専門家らは「残りの7、8割の中国人や中国資本の動向にも当然、影響を与える」と危惧する。

 水、電力(太陽光発電、バイオマス発電)、港湾、流通基地…などのライフラインは、中国へ資源を輸出するためだけではなく、道内で中国人集落が自給自足するためにも欠かすことはできない。人口1千万人構想、1万人規模の別荘構想、並行するように展開される不動産買収、そして、駐日大使や1等書記官の来訪。先のチャイナウオッチャーは「中国は北海道を20年前から、沖縄は25年前から狙っていた」という。

 人気コミック「ゴルゴ13シリーズNo.194」に気になる題材が取り上げられている。

 2011年、金融危機にあえぐアイスランドに、中国の投資会社から、全国土の0・3%にあたる3万ヘクタールを買収して、世界最大の人工リゾートゾーンを造るという計画が持ち込まれる。だが、計画は方便だったという設定だ。

(1)土地買収を継続して実効支配し、中国の欧州の拠点にする
(2)中国との間の北極海シーレーンを確保して買収地の一角に中国の貿易拠点を建設する
(3)買収した土地に40万人を移住させ、人民元を流通させ、五星紅旗を掲げ、計画的に中華州を造る
(4)国籍を取得させ、選挙権や被選挙権を取らせる。そして立候補して議席を獲得、議会を押さえる。

 物語では、政府が土地の売買を認めず中国資本は退散したが、投資計画が持ち込まれたのは実際の話だった。報道などによると、現地では当時、政治的、軍事的な分野からさまざまな臆測を呼んだという。

 情報関係者や中国資本の動向を知る道民らは「今、北海道で起きていることに似ている。物語では法律を盾に拒否できたが、北海道の場合は法律がなく、そうはいかない」と、アイスランドケースと重ねあわせた。

 もう少し、中国資本の動向を追うことにする。

 広い北海道で車を走らせると、太陽光発電所の多さに驚く。

 太陽光発電協会(東京)によると、北海道の太陽光発電所の数は、昨年7月現在で、約3万件余り。うち住宅用以外の発電所は約4500件だが、日本の場合、発電所を設置する企業は国籍を問わないため、“素性”は不明だという。経済産業省新エネルギー課でも、国別の統計はないという。

 道内の太陽光発電所の設置企業を個別に調べると、中国資本が関係しているのでは、とみられる太陽光発電所は50件前後。その中の1社は、東京千代田区内に本社を置き、全国規模で太陽光発電ビジネスを展開している。平成21年設立で、代表をはじめ役員は中国人が占める。この企業は25年から28年までに北海道に23件の太陽光発電所を建設、今年2月にも新たに1件稼働させている。

地元紙によると、登別市上登別町のテーマパーク「登別中国庭園・天華園」跡地には、中国系企業が来年6月の稼働を目指し、メガソーラーの建設を計画。関連企業がすでに敷地と周辺林地約70ヘクタールを取得したという。
 ×   ×
 北海道電力によると、発電所用の土地が、どれぐらい買収されているかは、チェック機関がなく不明だという。稼働実態について、同社の担当者は「個別案件については公にできない」としながらも、「事業計画通りに進まないため、需給契約を取り消すケースは多々ある」と話す。1千キロワット以下の発電所については売電しているかどうか分からないという。

 太陽光発電施設の寿命は、平均約20年ともいわれる。20年後、太陽光パネルは廃棄物として処理されるが、跡地はどうなるのか?

 経産省新エネルギー課によると、土地の後利用は企業側が決めるが、「個別の問題なので把握していない」という。

 太陽光発電協会も、実態は分からないが、広大な森林地帯を買い取って伐採したものの発電所を設置していないケースもあるだろうという。こうした土地は何に使われるのか。

 結局、太陽光発電の実態は曖昧な点が多い。

 農地や牧場にも中国資本の影が忍び寄っている。日高山脈の山間に開ける平取町・豊糠地区では、中国と関係が深いとされる業務用食品販売会社の子会社の農業生産法人が、全農地の半分余りの123万3754平方メートルを買収した。この法人は、道内で東京ドーム336個分の土地を取得したという。だが、豊糠地区の農地は今も、非耕作状態が続き、ホームページでは他の農場の実態は分からない。

この業務用食品販売会社も4カ所で太陽光発電所を設置しているが、関係者によると、湧別町でも買収しようとしたが、計画は止まったままだという。小野寺秀前道議は「太陽光発電所も農地も分からないことが多すぎる」と話す。
                 ×   ×
 かつて炭鉱の町として知られた夕張市は2月8日、ホテルやスキー場など観光4施設を不動産会社、元大リアルエステート(東京)に2億2千万円で売却する契約を締結。4月1日、現地法人「元大夕張リゾート」に引き渡すという。同社は22年に設立。代表は中国人で、長野県や道内でリゾート開発の経験があるとされる。

 中国系企業への売却について、同市の担当者は、「日本の会社として認識している」と説明。同社は2~3年で100億円を投資し、中国などからの集客で「第二のニセコのようなリゾートを造る」という。

 中国資本がニセコやトマムリゾートなど観光地に進出していることは知られているが、洞爺湖温泉でも、昨年12月、中国企業が経営するホテルがオープン、さらに、日本企業の保養地を買収した中国企業がホテル経営に乗り出すという。

 北海道での中国資本の活動は、規模が大きく盛んになってきている。

 在日中国人のチャイナウオッチャーは、「中国は移民のために、これからもどんどん土地を買っていく」と述べ、「集落を造り、病院や軍隊用の事務所も設置する可能性は高い。太陽光発電はその集落で使え、水源地や農地では、農産物を作れる。北海道の場合、中国人はドンドン増えるから、農産物や水が占領される可能性が高い」と忠告する。

【北海道が危ない 第4部(下)】2017.2.26
日本の領土を国交省が“斡旋”…外国人向けにマニュアル作成 中国資本の不動産買収に“お墨付き”

 国土交通省が、日本国内で外国人が不動産を購入したりアパートを借りたりするなど、不動産取引(売買、管理、賃貸)をする場合、手続きを円滑化する実務マニュアルを作成している。今年度内の実用化を目指しているという。

 訪日外国人や外国人留学生の増加で、外国人による国内不動産の取引が増加していることを受け、さらに取引が順調に行われるようにと、マニュアルを作成して不動産インバウンドへの対応を底上げするのが狙いらしい。

 マニュアルには、不動産取引の手続きや税制などでの日本と海外の違いの解説や本人確認の手法、物件の引き渡し方法、不動産管理-など外国人向けに不動産取引のポイントが盛り込まれている。また、不動産取引の手順や、外国人に説明する際に使える2カ国語のフローチャート、多言語パンフレットへのリンク集、不動産用語の英訳リスト一覧なども備えるという。

 これまで、北海道の森林やゴルフ場、観光施設、土地などが、中国資本に大がかりに買収されている現実を紹介、わが国が今、“経済侵攻”する中国資本と対峙(たいじ)していることを報告してきた。国会でも、ようやく、外国資本の不動産買収に規制を設けようという議論が起きている。

 そういう流れに逆行するように「どんどん買ってください」と言わんばかりにマニュアルを作成して、日本の“領土”である不動産を外国資本に斡旋(あっせん)するような国交省の姿勢には唖然(あぜん)とする。

国交省はマニュアル作成について、「現在、個人レベルの取引が増え、トラブルが起きているため、ルールを作ろうというのが狙い」と説明。「安全保障面での不動産売却は検討すべきで、情報の共有はしている。取引を促進しているものではない。まず立法が本筋だが、(売買が)許されている取引が円滑に進むようにするためで、国防とは別の次元の話」という。

 だが、マニュアルには、日本が国際人権B規約や人種差別撤廃条約に批准・加入していることや、憲法のいう法の下の平等の趣旨は特段の事由がない限り外国人にも類推適用されるという最高裁判決をあげ、外国人であることを理由に取引や賃貸を拒絶することは、「人権に基づく区別や制約となることから人種差別となる」と明示している。条約や憲法は不動産取引という民間の権利関係を直接決めるものではないとしながらも、「外国人を理由に取引や賃貸を拒絶すると、不動産の所有者等が、損害賠償請求を提起される可能性がある」と“脅し”まがいの文言が躍っている。

 マニュアルでは、外国人であることを理由に賃貸借契約を拒否され、損害賠償が認められたケースを数例あげているが、すべて賃貸借の場合だ。外国人による不動産売買について明確な法規制が整備されていないわが国にあって、国交省が外国資本に不動産売買を斡旋するようなマニュアルを作成することに、国を売ることにつながりかねないとの批判も出ている。

諸外国では、外国資本の不動産売却の法規制はどうなっているのか?

 元東京財団上席研究員の平野秀樹氏によると、中国▽ベトナム▽タイ▽インドネシア▽フィリピン▽イスラエル▽イラン▽ナイジェリアは外国人の土地所有は基本的には「不可」だという。インド▽韓国▽シンガポール▽マレーシア▽バングラデシュ▽パキスタン▽サウジアラビア▽トルコ▽ケニア▽コートジボワールは審査・許可・地区限定などの規制付きで可能としているという。国境・海岸部や離島に外国人規制を設けている国もある。
  ×   ×
 米国の場合、包括通商法のなかに「エクソン・フロリオ修正条項」が盛り込まれている。これは、政権内に航空、通信、海運、発電、銀行、保険、地下資源、国防、不動産など、安全保障上懸念のある国内資本の買収案件を審査する外国投資委員会(CFIUS)を置き、大統領に対して、米国の安全保障をそこなう恐れのある取引を停止、または禁止する権限を与えている。

 また、平野氏によると、州法で各州が独自に外国資本の不動産買収を規制しているほか、連邦法の「農業外国投資開示法」は、外国人の土地の取得、移転の際は、90日以内に連邦政府に届けることを義務づけ、怠ったり、虚偽の届けをしたりすると、市場価格の最大25%の罰金を科すと定めている。そのため農務省は、全国から土地情報を収集し、買収した国別の所有面積、増減傾向、地図、州ごとの地目別所有面積などを公表しているという。

韓国にも「外国人土地法」があり、外国人や外国資本が文化財保護区域や生態系保護区域、軍事施設保護区域などを取得する際には、事前の許可が必要であると定めている。

 一方、日本は外国人土地法の第1条で「その外国人・外国法人が属する国が制限している内容と同様の制限を政令によってかけることができる」と定められている。さらに4条では「国防上必要な地区においては、政令によって外国人・外国法人の土地に関する権利の取得を禁止、または条件もしくは制限を付けることができる」としているが、これまで規制する政令が制定されたことはない。

 韓国資本が長崎県・対馬の土地買収などを展開した際、法的効力の有効性が確認されたにすぎず、その後、具体的な検討は行われていない。

 わが国と比べて、諸外国は共通して不動産が買いあさられることの危険性を認識していることが分かる。外国資本による不動産買収に法の網をかぶせている諸外国と比べ、全く法規制をしいていないわが国では、国籍を問わず、だれでも、自由に土地を購入できる。そんな法体制でのマニュアル。「どんどん日本を買ってください」ということにつながるのは目に見えている。
 北海道での外国資本による不動産買収を監視している小野寺秀前北海道議は、「今、世界は難民政策や外国人の受け入れと向き合っている。そういう時期に、外国資本を受け入れるマニュアルを作る意味が分からない。こうしたマニュアルができると、不動産買収にもっと拍車がかかる。外国資本への対応は、法整備の後になされるべきものなのに危険だ。整合性がとれなくなる」と国土交通省の意図を訝(いぶか)る。

 在日のチャイナウオッチャーは「中国は、領土拡大のために数百年かけて静かな侵略を行ってきた。中国人は一度住み着くと、排他的なチャイナタウンをつくる。気がつくと、山も水も電力も中国のものになっているかもしれない」と警告する。

 国家の安全保障は、軍事面だけでなく、食糧面、エネルギー面、流通面、医療面、金融面、対自然災害…と多岐にわたる。中国はその全ての面で日本に攻勢をかけている-ともいえるが、国交省のマニュアルはそうした戦略にお墨付きを与えることになりはしないか。
 (産経新聞 異聞 北の大地 編集委員 宮本雅史)

【北海道が危ない 第3部(上・下)】

【北海道が危ない 第3部(上)】2016.10.6
小樽を見下ろす中国系の“要塞”は高台の元国有地 米軍の重要港が丸見えだった
http://www.sankei.com/politics/news/161006/plt1610060004-n1.html

 JR函館線小樽築港駅にほど近い高台にある「平磯公園」は小樽市内でも観光名所の一つだ。標高約70メートルの公園からは、小樽港や小樽市の中心街が一望でき、「重要眺望地点」にも指定されている。

 この平磯公園から1段下がった高台に6月上旬、日本料理専門のレストランがオープンした。高台は、草木に覆われた高さ3メートルほどの土砂の壁を背に、3方を崖と森林に囲まれ、外から様子を知ることはできない。崖の一部は城壁のように石垣が組まれ“要塞”のように見える。

 レストラン入り口のインターホンを押したが、故障しているようで反応がない。屋根には防犯カメラが不気味に見据えている。裏庭にまわると、バーベキュー用の施設があり、その先は急勾配の傾斜地で眼下に小樽湾が広がっていた。

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 登記簿によると、一帯はもともとは国有地だったが、平成20年1月に札幌市内の不動産会社に移転登記されている。その後、別の不動産会社(札幌市)を経由して、今年3月25日、農産物の生産、販売業などを行う札幌市内の中国系企業が購入している。敷地面積は約3831平方メートルで、建物は約292平方メートル。レストランは、この中国系企業が開業、運営していた。
周囲の森林地帯は国有地で、民間企業が管理を委託されているという。国有地に囲まれた“要塞”のような土地が、中国系企業に買収されたわけだ。
 
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 小樽市は明治、大正期の石造倉庫群などレトロな町並みを生かした観光地として、26年度は744万7800人だった観光客が27年度には794万9300人と、4年連続で増加。外国人観光客の宿泊客数も9万8610人から12万8223人となり、3年連続で過去最多を更新した。国別では、中国からの観光客が、26年度は前年度比273・9%の2万7169人、27年度も同134・3%の3万6482人と2年連続でトップとなっている。

 レストランを経営する中国系企業の担当者は、「立地条件もいいので、遊ばせておくのはもったいないから狙っていた。今はランチが中心で、夜は予約客だけだが、来年からは手広く営業していく」と意欲的だ。
 
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 小樽港は、米軍艦船や海上自衛艦の重要拠点でもある。米軍艦船は26年7月の米第7艦隊旗艦「ブルーリッジ」をはじめ、21年2月から7回寄港。海上自衛隊も、ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」が、今年4月19日、熊本地震の被災地支援のため、この港から出発している。
防衛省関係者や情報関係者は、「買収された高台は、港を監視するには最適の場所だ。米軍艦船や自衛隊艦船が寄港する埠頭(ふとう)や航路を見渡せる場所を外国資本に簡単に買われるのはいかがなものか。軍港や防衛施設周辺の不動産管理をもっと厳しくする必要がある」と警告する。

 地方議員経験者は、小樽には中国系企業や中国と関係があるとされる企業が相当数進出しているという。元議員は、「中国人観光客や中国系企業が増えると、その意図は別として、要塞のようなレストランが中国人の拠点になる可能性もある」と危惧する。

 買って放置 見えぬ意図

 北海道・洞爺湖温泉は、今年で温泉開湯100年を迎えた。その温泉街から西に約3キロ離れた洞爺湖町月浦地区で7月下旬、中国を拠点に不動産投資を展開する企業グループ「永同昌集団」の現地法人(札幌市)が、約7万7千平方メートルの土地を買収した。

 同グループは、ホームページに買収地の写真などを掲載し、リゾート型別荘を建設すると公表。グループオーナーの張宗真氏が地元紙に語ったところによると約100億円を投入し、約500室、最大1500人を収容できる高級宿泊施設を中心とする大規模リゾートを開発、中国本土やマカオに住む富裕層や中間層を対象に平成30年3月頃をメドに約100室を先行開業する方針だという。
張氏は地元紙に、「日本への投資に強い関心があった。北海道は世界に名だたる観光地。観光客誘致を通じ、中国本土やマカオとの経済、文化の交流を深めたい」と語り、「プロジェクトが成功すれば、さらに、道内でリゾート開発や投資を進める余地が出てくると考えている。現地法人が中心となり、道内の行政関係者とも協力的な関係を築きたい」と、北海道進出に意欲を見せている。
 
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 だが、この壮大な構想は、地元・洞爺湖町に大きな波紋を広げている。

 同町の担当者は開口一番「土地の買収、開発計画は新聞報道で初めて知った。全く寝耳に水の話だった」と戸惑いをあらわにし、こう続けた。

 そもそも、買収された月浦地区は国立公園特別地域で、開発行為は法律で制限されており、開発するには自然公園法で環境省に認可申請を、さらに特定開発行為にあたるため北海道にも認可申請をしなければいけない。しかし、同社はいずれからも許認可を受けていないというのだ。

 担当者によると、現地法人の責任者は同町の聞き取り調査に、「(法規制については)知らなかった。リゾート構想については、オーナーが地元紙の記者に話しただけで、詳細は聞いていない」と説明したといい、その後も連絡はないという。産経新聞社は、この現地法人の責任者に取材を申し込んだが、連絡はない。
同町の担当者らは「現地は山林原野なので開発は難しい。日本企業の場合は、開発可能な場所なのかどうかを調査した上でスタートするが、そうした基本的なことをしないで、土地を買って花火をあげるだけ。自然環境は破壊される恐れがあるし、今後、どう展開していくのか全く予想がつかない」と憤りを隠さない。

 洞爺湖温泉観光協会も、「協会には全く接触はなかった」と不信感を表した上で、「土地の売買自体も分からなかった。土地を買っただけで、その後は何も動いていない。コンセプトも規模も説明を受けておらず雲をつかむような話なので何とも言えないが、景観が崩れる恐れがある」と厳しく批判する。
 
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 第2部で羊蹄山の麓、喜茂別の中国人専用のプライベートゴルフ場や赤井川村の270ヘクタールに及ぶ森林買収を紹介した。洞爺湖畔の森林、土地、それに小樽市の元国有地などが買収される現実を見ると、ニセコから始まった不動産買収は、着実に放射線状に伸びてきているのが分かる。

 100ヘクタール単位で買収され、しかも、森林や川、道路などで外部と遮断される環境にあるため、中国人による中国人のための閉鎖的な集落が形成されるのではないかという危惧はこれまで、証言を交えて報告してきた。
だが、不動産買収の真の意図は別として、月浦地区のケースに見られるような環境破壊への危惧と計画の不透明さが、新たな問題として浮上している。

 小樽市ではこんな問題が起きている。

 札幌市の中国系不動産会社が25年3月、小樽市で3100平方メートルの高台を購入。約30億円を投じて、地上9階、地下2階の高級リゾートマンションを建設、分譲することを発表した。ところが3年たった今、工事はおろか、買収した土地は荒れ、開発は頓挫したままだという。

 洞爺湖町の職員は、「まず土地を買うが、その後は動かない。そんなケースは北海道ではたくさんある」と話す。大きな目標を掲げるが、意図は不透明なままで、とどまるところを知らない中国資本の“侵攻”に「このままでは虫食い状態に買われてしまう」と不安を隠さない。

 長年、道内の外国資本による不動産買収を検証している小野寺秀・前道議は、「中国以外の国の資本も入っていれば、北海道は投資対象の価値があるのかと納得できるが、こうも中国資本が多いと、なぜ、中国資本ばかりと考えてしまう。何か意図があるのではと勘ぐらざるを得なくなる」と、中国資本進出の背景に疑問を投げかける。



 これまで、2部にわたって北海道での中国資本の動向を報告してきた。その後も「〇〇のホテルが買収された」「××の森林が買われた」という情報が飛び込んでくる。日本の土地はいつまで外国資本の餌食になるのか? 政府は4日の衆院予算委員会で、外資の土地買収に対処することを明言した。改めて、北の大地の現状を報告する。(編集委員 宮本雅史、写真も)

【北海道が危ない 第3部(下)】永住権狙い不動産物色 危機感なく「買ってくれるなら中国でも…」
http://www.sankei.com/politics/news/161007/plt1610070007-n1.html
2016.10.7

日本国内の不動産情報が満載されている中国語新聞

札幌市中心街にある札幌市資料館近くのビルの合間に、中国人専用のゲストハウスの建設工事が進んでいる。
土地を買ったのは上海出身の中国人男性。約3千万円で購入したとされる。
札幌市内の不動産会社関係者によると、この中国人男性は、北海道への移住の下準備のため観光ビザで来日。滞在中に札幌市内の大手中国系不動産会社を通して、同市内の雑居ビルの一室に資本金約1千万円で法人を設立した。同時に、法人名義で土地を購入しゲストハウスの建設手続きを済ませたという。
「契約書は本人が交わしたようだが、売買手続きなどは不動産会社のトップが代わって署名した。銀行口座も、実力がある中国人が仲介すると簡単に開設できる」と関係者は話す。このように不動産を購入する中国人は多いという。
×   ×
道内の中国系不動産会社で働いたことがあるという札幌市内の男性は、「不動産を購入する中国人の多くは、日本での永住権を得るのが目的。不動産を持っていると永住権を得られやすいということが半ば常識化している」と明かす。
どういうことか-。
中国人観光客が日本を訪れる際、「相当の高所得を有する者とその家族」には、特定の訪問地要件をもうけない数次ビザ(有効期間5年、1回の滞在期間90日以内)が発給される。
入国管理局によると、外国人が日本国内で会社を設立し、事業所が確保され、資本金が500万円以上か常勤従業員が2人以上いると、中長期在留のための経営・管理ビザを取得できる。このビザを一度取得すると、事業実績などに応じて在留期間を1年、3年、5年と更新でき、継続して10年以上在留すると、永住権を申請できるという。
先の中国系不動産会社の元男性社員は「彼らは数次ビザで北海道に入り、90日間に法人を立ち上げ、めぼしい不動産を探してまわる。土地を買って一度本国に戻り、今度は長く滞在できる経営・管理ビザで北海道に戻ってくるのです」と話す。「ゲストハウスを経営する中国人の場合は、経営・管理ビザを取得し、更新する資格がある。何度も更新して永住権を狙うのです」
入国管理局も「不動産を取得したからといって、即座に永住権に結びつくわけではない」としながらも、「不動産収入につながればプラスの条件になる」と含みを持たせた。
札幌市内の中国系不動産会社で働いていたという女性は「私が働いていた会社では、『中国人に不動産を斡旋(あっせん)する最終目標は永住だ』と社長らが話しているのを何度も聞いた。実際、その手配をしていた」と明かした。
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札幌市で、直木賞作家の渡辺淳一氏に関する資料を展示している渡辺淳一文学館を運営していた大王製紙が、8月1日付で同館を中国・青島市の出版社「青島出版集団」に売却した。その調印式が9月20日に行われた。
地元メディアなどは中国人観光客の増加を期待するが、札幌にある日本の不動産会社に勤める男性は「道民の間には、中国にあまり抵抗感がないようだ。他にだれも買ってくれない、使ってくれない。なら、中国でもいいじゃないか…と」と話し、こう続けた。
「中国人観光客が増えれば増えるほど、観光ビザで来日して、不動産を買いあさるという流れに拍車がかかることは否定できない。中国人が、さまざまな形で北海道に大量に押し寄せてくるのは時間の問題だ」
10年後は「中国32番目の省」
都内で多くの中国人が訪れる地域の中華料理店には、中国人向けの新聞が十数種類、配布されている。北海道から沖縄までの不動産情報が満載だ。
在日中国人のチャイナウオッチャーは、「北海道、沖縄、大阪、東京と、全国の不動産情報が掲載されている。それだけ、日本の不動産に関心を持っている中国人がいるということ。特に北海道は注目の的だ」と言う。
道内の中国系不動産会社に勤務したことがある札幌市の女性は、北海道の不動産買収に関心がある中国人が増えていることを踏まえ、「道内には中国人観光客を誘致したり、中国人に不動産を斡旋(あっせん)する中国系企業は増えている。いずれもネットワークが確立されていて、情報を共有している」と言う。
富裕層向けの旅行会社「プレミアム北海道」(札幌市、張相律代表)もそうした企業の一つだという。
同社は昨年1月に設立。張社長は、「これまでの1年間は富裕層の北海道へのインバウンド旅行を中心に事業を展開してきた。今後は、アジア諸国の企業の北海道への投資コンサルティングや高級道産品のアジア諸国への輸出に力を入れていく」と事業拡大に意欲を見せ、「北海道はますます観光面で伸びていく。うちは不動産会社ではないので、土地などの不動産の売買は扱わないが、ホテルや宿泊施設の売買仲介は展開していく」と続けた。
同社は、一般中国人を対象にした旅行業や通訳、翻訳業などを展開する「北海道チャイナワーク」(札幌市)の系列会社。平成11年12月に設立され、張氏が代表を務める。
そのプレミアム北海道に、北海道銀行と北海道ベンチャーキャピタルが7月28日、道内の18信金、3信組と共同で設立した「ほっかいどう地方創生ファンド」の第4号投資案件として1千万円を出資。北洋銀行も同日付で、北洋イノベーションファンドを通じて1千万円を出資した。
北海道銀行は「同社の事業面の優位性と今後の成長性を高く評価」、北洋銀行も「道内観光の活性化に果敢に挑戦する姿勢を評価」と出資理由を説明、両行ともに「オール北海道で同社の成長を支援していく」としている。
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張代表は「不動産会社ではない」と強調したが、プレミアム北海道を知る札幌の不動産会社の関係者は、「プレミアム北海道は富裕層をインバウンドで受け入れて、不動産の紹介もしている」と明かす。
張代表の言い分と異なるが、仮に、前出の不動産会社関係者の証言が事実だとすると、金融機関が、不動産買収に関与する中国系企業に資金援助をし、お墨付きを与えたことになる。
割り切れないものを感じるが、北海道銀行の担当者は「もともと富裕客のための基盤を作るのが第一目的。将来的には不動産売買ということもありうるかもしれないが、事業内容については密接な付き合いのなかで相談していく」と説明。北洋銀行も「旅行代理店だから不動産売買は関係ないのでは…。あくまで出資なので、資金指導していないし、使途は限定していない」(広報担当者)と、両行とも危機感はない。
元地方議員はこうした証言を受け、「中国系企業に北海道を代表する金融機関が資金援助する。もし、将来的にプレミアム北海道や関連会社のチャイナワークが北海道の不動産買収に乗り出したとしたら、銀行側はどう対応するのか?」と疑問を投げかける。
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組織ぐるみの大がかりな不動産買収に、永住権をも視野に入れた個人的な不動産買収…。そして銀行支援を背景にしたビジネス展開。中国資本の北海道進出は陰に陽にとどまるところを知らないようだ。
冒頭のチャイナウオッチャーは、未確定な数字だと前置きしながら、「日本に住んでいる中国人は150万人以上、観光客は年間300万人以上、日本人妻は11万~12万人、中国人と日本人との間に生まれた子供12万~13万人。中国は日本を狙っている」と前置きした後、「特に北海道には関心が集まり、積極的に進出計画を進めている。一部中国メディアの間では、北海道は10年後、中国の第32番目の省になると予想されているほどだ」と言う。
前道議の小野寺秀氏は、「土地問題や森林問題、それに水源地問題は、管轄が国土交通省、環境省、総務省、外務省、農林水産省、防衛省と各省にまたがるため一元化されていない。なかでも、外務省は『内外人無差別』の姿勢だから足並みがそろわない。各省横断的な、総括的な巨大な力を持ったプロジェクトチームを作るほかない。それも急がないと時間がない」と提言する。
(編集委員 宮本雅史、写真も)

【北海道が危ない(上)】

中国生まれの「反天皇」農場主が帯広で170haを取得したのはなぜか? 朝鮮総連議長らにもお披露目し…

 北海道は平成24年4月、水源地を売買する際、事前届け出を求める水資源保全条例を施行した。それから4年。道内の外国資本の動向を追う。

  3月中旬の北海道帯広市。深い雪に包まれたJR帯広駅から道道216号線を南西へ約30キロ。日高山脈の麓、拓成町に入ると、戸蔦別川沿いに広大な農地が広がる。農場に沿って幅10メートルの道路が整備されている。さらに幅10メートルの作業用道路が敷設されているといい、セスナ機なら離着陸できそうだ。

 農場の入り口からコンクリートの敷石が敷設されたゆるやかな坂道を登ると、左右にグリーンやグレーのバンガロー風の建物が立ち並ぶ。奥にはL字型の建物が建設中だ。関係者によると、バンガロー風の建物は1階が寝室。居間は吹き抜けで2階はロフト形式。1棟に6人は住める広さで、建設費用は1棟1500万円ぐらいだという。

 従業員によると、農場ではヤマブドウやモモ、カキ、グミ、スモモなどの果樹類を育てているという。

 農場の経営者(73)は、複数の企業の会長職を務める地元財界の有力者。「これまでに(東京ドーム約36個分に当たる)170ヘクタールを買収し、最終的には400~500ヘクタールまで広げ、バンガローも年内には7棟建てる。いずれはヘリポートの建設も予定している」と語る。
昨年10月31日、この農場に朝鮮総連の許宗萬議長や議長補佐、朝鮮大学校長、同大教授、それに横浜中華街華僑連合会長らが訪れた。名目は「収穫祭」への参加だったが、実質的には農場の紹介が狙いだったといわれる。地元メディアも同席したが、記事にはならなかった。

 農場の経営者は取材に天皇陛下をののしり、政府の農業政策を批判。「このままでは、日本人は食べるものがなくなってしまう。花崗岩を使った有機農法を進める。北朝鮮は花崗岩を使った有機農法をしているので一昨年、その調査に平壌に行った。朝鮮総連がおかしいというのは問題。自分たちとは同じ遺伝子だから、もっと理解していかないとだめだ」と力説し、「有機農法をやりたければ、ロシア人でも北朝鮮人でも受け入れる」と続けた。

 経営者は中国・済南生まれだという。「華僑に依頼して、農場でとれた農産物を売るルートを探っている。有機農法を勉強したいのなら、中国人にもただで教える。北朝鮮も中国もロシアも関係ない。バンガローは、有機農法に関心のある研究者らのための宿泊施設にする」と強調する。

この農場の農地拡張や北朝鮮や中国との関係は、さまざまな波紋を広げている。

 「この辺は石が多いから農地としては適切ではない。採算が合わないのになぜ?」「農業機材や資材を見ると果樹園としては必要のないものもあり、つじつまが合わない」…。

 農場の内情に詳しい関係者も「純粋に有機農法を追求するのならいいが、朝鮮総連や中国が関係しているとなると…。思想的に反天皇陛下だとすればさらに怖い。これから中国人らをドンドン受け入れ、農場内に住むことにでもなれば、別の大きな問題が出て来る」と表情を曇らせた。

 長年にわたり中国資本による道内での不動産買収を注視している前道議の小野寺秀氏(51)はこう推測する。「中国資本はこれまでは建物や部屋、土地の一部などを買っていたが、最近は集落単位で買っている。自己完結的に生活できるようなものを買おうとしているのではないか。拓成地域には戸蔦別川があり、水源地としては一流。北朝鮮や中国の意向は分からないが、自己完結型の最適なエリアだ」


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 日高山脈をはさんで西側に位置する平取町。「中国人を中心とした閉鎖的な集落ができるのでは」と不安が広がっているという。
国道237号を北上し、幌尻岳の看板を目印に道道638号へ。国有林の合間を縫うように走る道道は、車がようやく対向できるほどで、民家はない。途中から舗装が終わり、さらに狭くなる。道道に入って約15分、細い山道を抜けると目の前が開けた。豊糠地区だ。幌尻岳の西側の麓に位置し、標高約250メートル。道路は幌尻岳の登り口まで続く。幌尻岳の東側がすでに紹介した帯広市拓成町の広大な農地だ。

 今年春、平取町内に続く道道が開通したが、人里離れた袋小路状態の集落。何者かが意図的に隔離された社会を作ろうと思えば、これほど適切な場所はない。そんな印象を持った。


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 そんな山間の集落がほぼ「村ごと」買収されたのは平成23年のことだ。ある住民は約10アール当たり10万円で、25ヘクタールの農地を2500万円で売ったという。支払いはキャッシュだった。

 買収したのは、業務用スーパーを全国にフランチャイズ展開するA社の子会社の農業生産法人。平取町の農業委員会によると、豊糠の農地は219万4092平方メートルで、森林や原野を含めると912万1137平方メートル。このうち農地123万3754平方メートルが買収され、原野や山林を含めるともっと増えるという。
農業生産法人は買収の理由について、競売で取得した牧場の牛馬の飼料用牧草を作るため、としている。

 ところが、買収から5年たった今も雑草や雑木が伸び放題。地元住民は「買収後に1回、畑の縁の雑草を刈っただけ。作物は作っていないし、ほとんど管理していないのに等しい」と話す。

 非耕作地のオンパレードで、地元の有力者も「買収した当時は、トレーラーも大型車も入ってこられないような地域。自分だったら、この辺の土地は買わない。売って5年ぐらいになるが、この間、何をしていたのか分からない」と首をかしげた。

 A社は、中国に子会社があり、中国との関係が深いとされる。

 住民の一人は「最初から中国の影を感じていた。村の有力者も『A社が中国と関係があるかどうかは分からないが、だれも買わない土地を買ってくれるのだからありがたい』と、A社が中国と関係があることをほのめかしていた」と話す。「買収後、中国の領事館ナンバーの茶色いバンが、豊糠地区内を走っているのを複数の住民が複数回見た」との証言もある。ある住民は、農業関係の組織で、A社の計画や中国の存在を確認した際、幹部から「命に気をつけろよ」と真顔で警告されたという。

 在京の中国事情通はこう指摘する。「海外で活動する中国企業の背後には中国共産党がいると考えた方がいいが、中国と関係のある日本企業も同じだ」
そもそも農業生産法人が、山奥の僻地を集落ごと買うことにどういう意味があるのか。しかもなぜ、荒れ地や耕作放棄地になっているのか。

 こんな疑問を農業委員会や農業生産法人の責任者に投げかけると、返答は「今も餌用の牧草を作っている」。

 あまりの不可解さに一部住民の間でこんな臆測が流れている。「地目(宅地、山林、田、畑など不動産登記法上の土地の分類)を変更すれば、住宅や工場を建てられる。農地を荒れ地にしておいて、『雑種地』に地目変更するつもりではないか。変更すれば、誰でも自由に買えるようになる」

 一方、農業生産法人の責任者は中国との関係を否定した。中国の影がちらついただけで判断するのは危険だが、先の中国事情通はこんな警鐘を鳴らす。

 「中国人からすると、将来的には日本人と結婚をして中国人の血が流れている子孫を増やすという大きな狙いがある。そのためにはまず、地域に拠点を作ることが優先される」




◆水資源保全条例
北海道庁は外国資本による道内の水源地買収を監視するため、平成24年4月、水資源保全条例を施行。水資源保全地域を指定し、同地域内にある土地を売却する場合、事後届出制だったのを、土地の持ち主は契約の3カ月前までに売却先の氏名、住所、土地の利用目的を道庁に届ける事前届出制にした。ただ、強制力はない。現在、58市町村169地域、11万9861ヘクタールが保全地域に指定されている。
 一方、外国資本の森林などの売買は規制がないため、道庁は22年度から独自に、外国資本が資本金の50%以上を占める企業についてはその動向を注視している。だが、中国と関係のある日本企業が買収しているケースや、中国企業が日本企業を買収し、そのまま所有権を引き継ぐケースもあり、実態把握が困難なのが実情だ。

【北海道が危ない(中)】

中国が観光施設“爆買い” 進むチャイナタウン化 住民に危機感「中国人の街ができてしまう」   


 四方、雪化粧に包まれたJR北海道石勝線のトマム駅。車窓からは1千ヘクタール(東京ドーム213個)を超える総合リゾート施設が広がる。「星野リゾートトマム」(占冠村)だ。

 この日本を代表する総合リゾート施設が中国の商業施設運営会社「上海豫園旅游商城」に買収されたのは昨年秋のことだ。買収額は約183億円。それまで星野リゾート(長野県軽井沢町)が20%、外資系ファンドが80%の株式を保有していた。上海豫園旅游商城の大株主は、上海の中国民営投資会社「復星集団」(フォースン・グループ)。復星集団は日本での不動産投資を積極的に進めているとされ、トマムの買収も復星集団の意向が働いたとされる。

 占冠村の中村博村長は不安を口にする。「買収は寝耳に水だった。中国企業の会長は『トマムにも投資する』と言っているが、具体的にどういう投資がなされるのか分からない。水の問題と乱開発が心配だ。網掛けをきちんとして、水資源の確保と乱開発は防がないといけない」

 道庁関係者によると、トマム地域は水資源保全地域に指定されておらず、トマムの水源地も買収されたという。
星野リゾートトマムの買収を仕掛けたとされる復星集団はトマム買収以前にも、隣のリゾート地「サホロリゾートエリア」(新得町)で宿泊施設を所有するフランスのリゾート施設運営会社「クラブメッド」を買収しており、サホロリゾートも実質、中国資本の傘下になっていた。一瞬のうちに、日本が誇る2つのリゾート地が中国資本の手中に収まったことになる。

 新得町の浜田正利町長は「最初は台湾と聞いていたが、値段の都合で中国に行ったようだ。もっと高く買ってくれるところがあれば、再び売りに出すかもしれない」と話す。

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 北海道に中国人観光客が押し寄せるようになったのは平成20年に北海道を舞台にした映画「非誠勿擾」(邦題「狙った恋の落とし方。」)が大ヒットしたのがきっかけだといわれる。

 世界屈指のパウダースノーで有名なスキーリゾートであるニセコ(倶知安町、ニセコ町)も、オーストラリアやニュージーランドのウインタースポーツ好きでにぎわっていたが、中国系が増えて今では60%を占めているという。
22年にはニセコの山田温泉ホテルが7億円で中国資本に買収された。「大きなローマ字で『KOBAN』と書かれ、日本語で小さく『交番』と書かれている地域もある。歩いているのは白人か中国人で、日本人を見つけるのは珍しいぐらいだ」(道庁関係者)

 長年、中国資本の動向を注視している前道議の小野寺秀氏は「24年4月の水資源保全条例施行後、国営企業のような大きな会社が堂々と顔を出してきたので、雰囲気が変わってきたと感じる」と話す。

 そして危機感を強める。「中国が狙っているのは水源地や森林、不動産だけではない。観光施設も買収している。今後、観光地の中国化が進み、利用するのは中国人がほとんどという事態になり、その場がチャイナタウン化するのは時間の問題だ」


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 フランスのリゾート施設運営会社「クラブメッド」が中国資本に買収された昨年以降、同社がサホロリゾート(新得町)に所有する宿泊施設を訪れる中国人が急増している。

 新得町によると、サホロリゾートの平成26年度の外国人の延べ宿泊者数は5万343人で、中国人(香港含む)が1万4982人でトップ。27年度は上期(4~9月)だけで前年同期の2032人を大幅に上回る7399人に達しており、年度ベースでも26年度を上回る勢いだ。

一方、昨秋買収された星野リゾートトマム(占冠村)は「観光客の国籍は公開していない」と言うが、地元住民によると、中国人観光客が多いという。

 こうした観光需要に伴い、接客のための外国人従業員も増加。占冠村では外国人居住者はここ2年で59人から120人(28年2月現在)と倍増し、人口の約1割を占める。国・地域別で見ると、台湾人が51人、韓国人が28人、中国人は22人だ。

 占冠村の中村博村長は「星野リゾートトマムは外国人従業員が多く、トマム地区の住民の4割を占める。何組かは地元の女性と結婚している。これからも増える可能性は高い」と話す。

 岸田文雄外相は4月30日、中国の王毅外相に、日本を訪れる中国人に発給するビザを緩和することを伝えた。今後、中国人観光客が増加するのは火を見るより明らかだ。

 もっとも、ホテルが整備されて観光客が増えることに不満はない。地域の活性化にもつながる。

 だが、占冠村の住民は「中国資本が中国人をたくさん呼んできて、中国人の雇用を増やす可能性がある。村内では、中国人の街ができてしまう、という噂が立っている」と複雑な思いを打ち明ける。
新得町の浜田正利町長は言う。「日本を守るという意味で、(外国資本による北海道の不動産買収に)制限は必要だと思う。特に土地に関しては国が制限をもうけないと…」


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 中国人を含む外国人居住者が増えると何が問題になるのか。それは「常設型住民投票条例」だ。

 住民投票には「非常設型住民投票」と「常設型住民投票」がある。

 「非常設型」は、住民の賛否を問う事案ごとにその都度、議会の議決を経て実施に必要な住民投票条例を制定する。

 一方、「常設型」は、投票の資格や投票方法などをあらかじめ条例に定めておいて、どんな些細なことでも請求要件を満たしていればいつでも実施できる。市町村が独自に制定でき、外国人にも投票権が保障される場合もあり、地方行政に直接参画できることになる。

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 北海道庁によると、27年4月1日現在、芦別市、北広島市、増毛町の3市町が、常設型住民投票条例を制定している。
また、179市町村のうち51市町村で自治基本条例が制定されており、このうち稚内市や安平町、むかわ町、猿払村、美幌町、遠軽町の6市町村は自治基本条例の中に住民投票を規定した上で、実施する際の具体的内容や手続きなどを盛り込んでおり、実質、常設型住民投票を認める内容になっている。

 外国人に対しては、この9市町村のうち5市町村が居住期間などの条件付きで投票権を認めている。

 常設型住民投票条例を制定している増毛町の制定理由はこうだ。「町民による自治の重要性を強く認識し、重要な政策の選択に町民の意思を的確に反映させるため、町民生活の基本に重大な影響を与える事項に関し、直接町民の意思を問う」

 投票は日本人のほか、「18歳以上の永住外国人で、引き続き3カ月以上本町に住所を有し、かつ投票資格者名簿への登録を申請した者」とし、外国人にも投票を認めている。

 前道議の小野寺秀氏は明かす。「アメリカ総領事館の職員から、『常設型住民投票条例が制定されると、外国人が自治体の首長のリコールなどができるようになる。それは選挙権を与えたぐらいのインパクトがあり、行政を牛耳ることができる。そのような地域に中国人がドッと入ってくると、中国の思いのままになる』と忠告された」
北海道中部の住民男性はこう打ち明けた。「私の集落では、日本人と結婚した中国人が発言力を強め、われわれの意見に耳を貸さないで強気で押してくる。もし、常設型住民投票条例が制定されたらと、想像しただけでも背筋が凍る」

 町内の農地買収に中国の影がちらつく平取町の川上満町長も「自治基本条例に住民投票は明記されていないが、今後趨勢をみて、必要とあれば入れていく」と条例制定に含みを持たせた。

 こうした流れに、ある町長は危機管理の必要性を説く。「うちには、自治基本条例も常設型住民投票条例もない。今後、必要だという声が出たら、議論はするが、制定されると、根本的に地方自治が揺らぐので危険だ」(編集委員 宮本雅史)

【北海道が危ない(下)】


日本が20年足らずで消滅? 空自基地周辺にも中国の影 ゴーストタウン化した中国人向け別荘地も


 北海道の新千歳空港から車で約15分。千歳市郊外の高台に整備されたニュータウンの一角に高級住宅が立ち並ぶ。障害物はなく、東方に新千歳空港と航空自衛隊千歳基地が一望できる。

 家具・インテリア販売大手「ニトリ」の子会社「ニトリパブリック」が約6億5千万円を投じ、平成22年7月に完成した中国人向けの別荘地だ。約6500平方メートルの敷地内に木造2階建て住宅17棟が並ぶ。建物面積は380平方メートルだという。芝生が敷かれた中庭には中国放送視聴のためか、大型衛星アンテナ3台が設置されている。

 ニトリは1棟当たり平均3千万円で入居者を募集したところ、100人余りが応募、早々に分譲を完了したという。当時、地元では物議を醸したが、それ以降は話題にものぼらない。各住宅の玄関には中国人名の表札があるが人気はなく、この一角だけは無機質なゴーストタウンのようだ。

 道路をはさんだ反対側には広大な土地が放置されている。この土地も同社が買収したものだという。ニトリは当初、1万人の中国人が住めるように、1千棟の別荘を建設する予定だったが、住民の反対などがあり頓挫。ニトリによると、今後、拡張の予定はないという。

複数の住民によると、中国人はツアーのようにまとまって来て、1、2週間滞在して帰ることもあれば、レンタカーで個人的に来ることもあるという。別荘の近くを通ると、中国人が出てきて「通るな」と妨害されるため、いさかいが起きたこともあるといい、警察関係者によれば、この地区の交番の出動件数が道内でトップになったこともあるそうだ。

 購入者は年に何回か来るだけで、ほとんど空き家状態。「最初の頃は子供用の自転車や三輪車を置いていたが、いつのまにかなくなっていた。中国人が買っているので、この先、この地域がどうなるのか心配」と地元の主婦。老夫婦も「所有者を審査しただろうから問題はないと思うが、極端なことを言うと、テロリストが住んでいたとしても分からない」と不安を口にした。

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 新千歳空港には政府専用機が格納されていて時折、訓練飛行が行われている。隣には北の防衛の要である航空自衛隊千歳基地があり、国防上重要な場所だ。

 その新千歳空港の滑走路と千歳市美々の国道36号との間に広大な山林、原野が広がる。土地の管理会社によると、約40ヘクタールあるという。国道脇には「賃貸地」の看板がある。
21年ごろ、この土地をめぐってある計画が進められていた。土地の売却を考えた所有者が設計会社やデベロッパーとともに、中国の要人が来訪した際の航空機を収納する格納庫を建設しようとしたのだ。

 前道議の小野寺秀氏は振り返る。「航空自衛隊の基地がある滑走路と、中国の飛行機を収納する格納庫への滑走路がつながるというのは普通ありえない。設計図を見て驚いた。中国の要望を聞きながら話を進めたようで、中国も乗り気だったと聞いている。途中で頓挫したから大事には至らなかった」

 道庁側は安全保障上の問題を理由に、所有者に売却しないよう要望すると同時に、22年から23年にかけて国に買収するよう働きかけたが実現しなかったという。

 この土地の管理会社はこう話す。「昔は確かに中国から購入の話はあった。怪しい客には売らないが、しっかりしたビジョンがあれば、国を問わずに売る。最近では日本の法人だが、背後に中国の影が見えるケースもある。いろいろな話があり、交渉中だ」
この地域には売地が多い。中央日報によると、韓国電力公社が総事業費約113億円を投入し、来年下半期までに新千歳空港近隣の約109ヘクタールに13万台の太陽光モジュールを設置する予定で、4月20日に着工式が行われたという。

 小野寺氏は長崎県・対馬の海上自衛隊施設の隣接地が韓国資本に買収された例を挙げ、こう警告する。「国として安全保障上重要なエリアを決めて、そこを国が管理するとか、買い上げるとかの方向にしないと手遅れになる。対馬の二の舞いになる」

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 平成27年の海外資本などによる北海道の森林買収は、11カ所(計約107ヘクタール)だった。内訳は中国(香港を含む)が7カ所(同91.1ヘクタール)、シンガポールが1カ所(同2ヘクタール)、英領バージン諸島が2カ所(同2.8ヘクタール)、オーストラリアが1カ所(同11ヘクタール)。利用目的は「資産保有」「不動産開発」「現況利用」などだが、中国資本の場合、「別荘」「投資用」「コンドミニアム」「スキー場」「太陽光発電」がそれぞれ1カ所ずつで、2カ所は「不明」だった。
海外資本による北海道の森林買収は27年12月末現在、26市町村で計1878ヘクタール(東京ドーム約400個分)。道庁森林計画課は所有者の変動があるため、国別の統計は算出できないとしているが、「中国資本が明らかに多いという印象は強い」(道庁職員)という。

 道庁は22年、山林について買収したのが外資かどうかを把握するため、所有者とされる企業2141社にアンケートを行った。ところが、43%にあたる913社は「宛先不明」。道庁は追跡調査を続けたが、所在不明の「幽霊地主」は184社、アンケート総数の9%にものぼり、道内に総計約4万ヘクタールの所有者不明の山林があることが判明した。

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 「外国資本が北海道をはじめ日本国内の不動産を買収し続けると、予想外の落とし穴が待ち受けている」

 こう指摘するのは元東京財団上席研究員の平野秀樹氏(61)。所有者が分からない土地が多いことについて、「グローバルな商圏を舞台に土地の転売が繰り返されていくと、さらに所有者が分からなくなる」と危惧する。
日本では土地を売買しても、登記簿の記載変更は義務ではない。つまり、登記簿だけに頼り、所有者をさかのぼろうとしても、追跡のしようがないのだ。

 平野氏は警告する。「日本の土地は『所有者絶対』の原則が貫かれているので、所在不明の主体に売ったが最後、糸の切れたたこのように浮遊し続ける土地が続出してしまう。国家の主権そのものが脅かされ、モラルハザードが当たり前の社会に成り下がってしまうかもしれない」

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 観光客でにぎわう札幌市中央区の狸小路商店街近くで、再開発計画が進んでいる。新しいビルは地下3階、地上29階建て。敷地面積は3700平方メートルで、建築面積は3200平方メートルだ。

 地元タウン誌によると、商業・業務向け施設は地下2階から6階。7階から29階までは130戸の分譲マンションになる予定だ。

 地元不動産関係者の話では4階から6階までは中国系の店舗が入り、分譲マンションは中国人が購入しそうだという。地元タウン誌も「長年の中華街構想が実現できそうだ」と伝えている。
地元不動産関係者によると、札幌市内のビルに、道内のマンションなど不動産を買いあさっている中国系企業や、買収した不動産を管理する中国系企業が集中するケースが目立ってきているという。前道議の小野寺秀氏は「札幌でも平取町でも占冠村でも、すべて5年ほど前から同時並行で起きている。単発ではなく、一気にきているイメージがある」と話す。

 7年11月8日、参議院の国際問題に関する調査会で、当時自民党議員だった笠原潤一氏(故人)が、「日本という国は40年後にはなくなってしまうかもわからぬ」という中国の李鵬首相(当時)の発言を、オーストラリアのキーティング首相(同)が自民党調査団に伝えた、と報告している。李首相の予言ではあと20年足らずで、日本はなくなってしまうことになるが、北海道での中国資本の動きをみると、不気味な印象を持たざるを得ない。(編集委員 宮本雅史)

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